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サービス付き高齢者向け住宅の優遇制度と相続税対策

税金

税理士 / 野村 憲太郎

このコラムの内容は、2016年(平成28年)10月現在のものです。

国土交通省は2016年(平成28年)度予算において320億円を計上し、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進のための支援を拡充しています。社会の高齢化が進むなか、高齢者が安心してくらせる居住施設に対する需要は高まる一方です。国もその開設に対して補助金を交付することで、高齢者のための住まいの安定確保をめざしています。

今回は、土地オーナーの方々向けに、サービス付き高齢者向け住宅の建築により受けられる優遇措置をご紹介するとともに、高齢者住宅の賃貸事業による相続税対策の仕組みを解説します。

サービス付き高齢者向け住宅の手厚い支援措置とその理由

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を新築する場合は、図表Aの通り、要件はありますがその工事費の10分の1以内(1戸あたりの上限120〜135万円)が助成されます。また、デイサービスや診療所などの高齢者生活支援施設を合築・併設する場合にも、1,000〜1,200万円を上限として助成金が交付されるようになっています。

国は介護について「施設から在宅へ」という方針を掲げています。一般の賃貸住宅と同様に賃貸借契約で入居するサ高住は、“在宅”の扱いとなり、国の方針に沿っているのです。国はサ高住の総戸数を、2020年(平成32年)までに60万戸にまで整備することを計画しています。補助金はそのための期間限定の支援措置ということになります。

サ高住には補助金に加え、図表Bの通り、税制面の優遇措置もあります。所得税・法人税には割増償却という優遇措置がありますが、割増償却とは、通常の減価償却費に一定割合を乗じた(サ高住の場合は10〜14%)金額を上乗せできるという減価償却の特例制度です。通常より減価償却費を多く計上でき、利益を抑えることで節税を図ることができます。また、建物の固定資産税についても減額幅が大きくなっています。いずれも建築年度から5年間適用できます。

さらに建築資金については、住宅金融支援機構の「サービス付き高齢者向け賃貸住宅融資」が設けられ、低金利の長期固定で資金調達が可能です。

なお、一連の優遇措置を受けるには、交付申請の際にサ高住としての登録が完了していることが必要となります。

[A]サービス付き高齢者向け住宅の新築補助金 [申請期間:2016年4月28日〜2017年2月3日]

種類 補助率 補助限度額 補助条件
従来型サ高住 建設費の1/10 120万円/戸 バリアフリー構造で、住戸部分の床面積が原則25㎡以上(共同利用の居間・食堂など十分な面積を確保できる場合は18㎡以上)。
夫婦型サ高住 135万円/戸 住戸部分の床面積が30㎡以上で、住戸部分に基本設備(便所・洗面・浴室・台所・収納)がすべて整備されていること。
サ高住に併設する高齢者生活支援施設 1,000万円/施設 生活相談サービス施設、食事サービス施設、交流施設、健康維持施設、診療所、訪問介護事業所など
拠点型サ高住に併設する高齢者生活支援施設 1,200万円/施設 小規模多機能型居宅介護事業所、複合型サービス事業所、短期入所生活介護事業所、短期入所療養介護事業所

[B]サービス付き高齢者向け住宅の税制優遇措置 [適用期限:2017年3月31日まで]

種類 優遇措置 補助条件
所得税・法人税 5年間 割増償却14%(耐用年数35年未満10%) 床面積25㎡以上/戸(専用部分のみ)10戸以上
固定資産税 5年間 2/3を参酌して1/2以上5/6以下の範囲内において、市町村が条例で定める割合を軽減 床面積30㎡以上/戸(共用部分含む)5戸以上
不動産取得税 建物は課税標準から1,200万円控除/戸、土地は家屋の床面積の2倍にあたる土地面積相当分の価額等を減額 床面積30㎡以上/戸(共用部分含む)5戸以上

サ高住や介護施設の賃貸による相続税対策の効果

賃貸住宅オーナーの皆さんはよくご存じだと思いますが、不動産を購入すると相続税の節税になります。それは、相続税を計算する際の財産評価の仕組みにあります。

例えば、現金を1億円持っている方が亡くなられた場合、相続税を計算する上での財産評価額は1億円になります。しかし、この1億円で建物を建築していた場合、財産評価に固定資産税評価額を用いるので、構造にもよりますが1億円で建築した建物がおおよそ4,000〜7,000万円の評価になります。そしてこの建物を賃貸した場合は、貸家として借家権を考慮することになりますので、固定資産税評価額からさらに3割程評価を下げることができます。結果、仮に固定資産税評価額が5,000万円の場合、現金のままであれば1億円の財産だったものが、3,500万円の財産として相続税の計算をすることができるのです。

また、この貸家が建っている敷地は貸家建付地として、土地の財産評価額も減額されます。減額される金額は地域ごとに定められた借地権割合により異なりますが、賃貸割合100%の場合、首都圏などではおおむね2割程度の減額になります。

アパートや賃貸マンションでは一般的なものとなっているこの相続税の節税手法は、
を建てて、運営事業者に賃貸する場合にも活用できます。

高齢化が進んでいる現在、需要が見込め、手厚い優遇措置のあるサ高住は、相続税対策を目的とした土地活用の有望な選択肢といえるでしょう。まずは建築や事業運営に詳しいメーカーを選んでご検討されることをお勧めします。



プロフィール

野村 憲太郎氏 近影

野村 憲太郎(のむら けんたろう)

立命館大学経営学部卒業。2007年 医療・介護・福祉業界に特化した上田公認会計士事務所に入社し、同時に税理士登録。現在は、日本クレアス税理士法人 上田公認会計士事務所 監査1部第3チーム リーダー。医療機関専門の税理士として、開業支援、法人成り、事業継承等の業務に携わっている。その傍ら、「開業医向け事業継承・相続対策セミナー」「相続税の改正内容と不動産を活用した節税対策」など、金融機関やハウスメーカー等が主催する各種セミナーの講師も歴任している。他に、1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士の資格を持つ。


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