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資産透明化時代の相続税対策と資産運用

税金

税理士 / 杉井 克彦

このコラムの内容は、2016年(平成28年)2月末時点のものです。

2016年(平成28年)から、いよいよマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の運用がスタートしました。マイナンバーの活用により、国や地方公共団体が分散管理する個人情報の連携がスムーズになります。その結果、行政手続きが簡素化されてくらしが便利になり、不正を防止して公平・公正な社会の実現に役立つことが期待されています。

しかし一方で、預貯金口座や証券口座とマイナンバーのひもづけが順次開始され、資産の透明化が進むことに不安を感じている方も多いようです。

今回は、そうした資産透明化時代の相続税対策や資産運用のあり方について考えてみましょう。

マイナンバーの利用で社会や資産管理はどう変わる?

日本国内でくらす全住民に一人一つずつ割り当てられる12桁のマイナンバーは、いわば市民と行政との間のパイプラインです。行政が保有する自分の個人情報を、自分でも確認できるし、行政側からも見られる。行政が見た場合はその履歴が残ります。2017年(平成29年)1月より、パソコンや携帯端末から自分のマイナンバーに関する情報にアクセスできる「マイナポータル」というサービスが運用開始となり、そんな社会が実現します。

また、数年のうちに預貯金や健康保険とマイナンバーのひもづけが進む予定です。そうすると税負担を不当に免れたり、行政サービスを不正に受給したり、薬を二重に出しているといったことが是正されていくでしょう。これは私の予想ですが、それによって5兆円くらいはアンダーマネーが表に出てくるのではないでしょうか。

行政に資産を把握されるのを避けるために「タンス預金がいいんじゃないか」「貴金属で運用すればいいんじゃないか」と考える人もいます。しかし、例えば国が1万円札の福沢諭吉を他の偉人に刷り変えたらどうなりますか。タンス預金のお金をいざ使おうとしたら「銀行で新しい札に代えてください」と言われ、銀行に持っていったらその時にマイナンバーが必要になる。貴金属も一定金額を超えるものをお金に代えようとするとマイナンバーが必要になる。結局は同じことなのです。

そんなことに知恵を絞るより、元気で長生きしていろんな税の特例を利用しながら子や孫に資産を継承していく。資産透明化時代の相続税対策も、そういう基本通りのやり方が一番賢いと思います。

マイナンバー制度の主なスケジュール

2016年1月〜 ● 社会保障や税金の手続き・管理にマイナンバーの運用開始
● 申請者に個人番号カードの交付開始
※証券口座の開設時にマイナンバーの通知開始(既存口座は3年間の猶予あり)
※相続税の申告手続きに利用開始(1月1日以後の相続または遺贈に関する申告書より)
2017年1月〜 ● 国の行政機関の間で情報の連携がスタート
● 自分のマイナンバー情報を確認できる個人専用サイト(マイナポータル)の運用開始
※所得税・贈与税の確定申告手続きに利用開始(3月15日申告期限分より)
※健康保険・厚生年金保険関係の手続きに利用開始
2017年7月〜 ● 地方公共団体等を含めた情報の連携がスタート
2018年1月〜 ● 預貯金口座とマイナンバーのひもづけ(任意)
2021年めど ● 預貯金口座へのひもづけ義務化をめざす

相続財産を見極め時間をかけてコントロールする

2015年(平成27年)1月の相続税改正から1年余り経ちました。これまで数え切れないほど相続税対策セミナーの講師をしてきましたが、「ご自分の財産がいくらか知っていますか」という質問をして「知っている」と答える人は10人中せいぜい1人か2人です。財産の額がわからなければ、相続税がかかるかどうかもわかりません。その結果、ふたを開けたら相続税が発生するというのが現実に多いパターンです。

子どもは親に「財産いくらあるの?」とはなかなか聞けません。ですから、お元気なうちにご自分の財産が相続税の基礎控除[3,000万円+(600万円×法定相続人数)]を超えるか超えないかだけでも見極めましょう。例えば相続人がお子さん2人の場合、4,200万円を超えたら相続税がかかります。

超えているようならそれなりの対策を考えます。今は過去に例を見ないくらい贈与の特例がたくさんあります。例えば住宅資金、教育資金、子育て資金、それに110万円までの暦年贈与の非課税枠など。長生きをすればこういう特例がどんどん使えます。相続財産をコントロールするのは、時間さえかければそう難しいことではないのです。


資産三分法でリスクを分散する資産運用を

資産を性質の異なる「土地・キャッシュ・株(投資信託などを含む)」の3つに分けて運用し、リスク分散する考え方を資産三分法といいます。三分法の比率は時代とともに変わっています。バブルの頃は預貯金の金利も高かったけれど、それ以上に土地の値上がりがすさまじく、収益がなくても持っているだけですごい資産でした。その土地神話が崩壊して25年経過します。今は日銀のマイナス金利政策の影響もあり、銀行にお金を預けていても利息はほぼゼロ円というご時勢。資産を土地や収益物件にシフトするのはある意味、当然の話です。

ただし、マイナス金利は経済のいわばカンフル剤ですから、振れ幅が大きいかもしれません。いい方向に働けば景気が良くなり、政府や日銀が期待しているように一気にインフレが進むかもしれない。そうなると金利はすぐに上がります。

また、労働力の中核をなす生産人口がどんどん減少する日本で、将来的にも安定した賃貸需要が見込める場所は限られます。賃貸住宅を建てるなら、地価が上がらなくてもいいので、下がらない立地を前提に考えましょうというのが私の持論です。



プロフィール

杉井 克彦氏 近影

杉井 克彦(すぎい かつひこ)

税理士法人 杉井総合会計事務所 代表社員税理士、株式会社ライフ プランニング コンサルタンツ 代表取締役。 1991年に税理士登録、95年にNPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会CFP®登録。現在、関与先約400件をはじめ、個人・法人を問わず幅広い分野でコンサルティングを行う。著書に「トップ会計人13のコンサルティング」(清文社発行 共著)がある。

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