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2016年度税制改正の注目ポイントは?

税金

税理士 / 栗原 隆

このコラムの内容は、2016年(平成28年)4月現在のものです。

2016年度(平成28年度)税制改正については、法人税率の引き下げや、来年(平成29年)4月の消費税率10%への引き上げに伴う軽減税率制度の導入などがマスコミ等で話題になっています。
ここでは、不動産オーナーの皆さんにとって関心が高いと思われる個人所得課税を中心に、新たに創設される控除制度などについて解説します。
また、賃貸住宅を新築される方に影響のある減価償却制度の見直しについても併せてご紹介します。

※この記事の内容は、2015年(平成27年)12月24日に閣議決定された「平成28年度税制改正大綱」に基づいています。

空き家を売却した際の譲渡所得の3,000万円特別控除

空き家の発生を抑制して住みよい環境を確保するために、次の特別控除が創設されます。

相続した空き家を、相続人が取り壊して敷地を売却する場合、または必要な耐震リフォームを施した上で家屋・土地を売却する場合には、売却による利益(譲渡所得)から3,000万円を控除して所得税・住民税を計算できます。

適用条件は下記の通りです。

  1. 相続発生時に被相続人が1人で住んでいた居住用の家屋で、1981年(昭和56年)5月31日以前の建築(マンションなどの区分所有建物を除く)。
  2. 売却する期間は2016年(平成28年)4月1日〜2019年(平成31年)12月31日の間で、相続開始後3年を経過する日の属する年の12月31日まで。
  3. 売却価格(譲渡価格)は1億円以下。

三世代同居リフォームについて税額控除制度を創設

世代間の助け合いによる子育てを支援するため、三世代が同居するような住宅リフォームについて税額控除制度が創設されます。

所有する住宅に「一定の三世代同居改修工事」を含むリフォームをして、2016年(平成28年)4月1日〜2019年(平成31年)6月30日の間に居住した場合、下表のいずれかの控除を適用することができます。

一定の三世代同居改修工事とは
(1)キッチン (2)浴室 (3)トイレ (4)玄関 のいずれかを増設する費用50万円超の工事で、改修後に(1)〜(4)のいずれか2つ以上が複数となるもの。

住宅の三世代同居改修工事等にかかる所得税額の特別控除

下記の2つの特例のいずれかを適用することができ、ローンを組んでリフォームした場合、自己資金でリフォームした場合のどちらでも税額控除があります。

※その年の前年以前3年内にこの税額控除の適用を受けた場合、その年分の合計所得金額が3,000万円超の場合には適用されません。

(1)ローン控除の特例 年末残高1,000万円以下の部分について下表のように区分して合計額を計算。

(1)ローン控除の特例

借入金の区分 ローン残高 控除期間 控除率 最大控除額
一定の三世代同居改修工事 〜250万円(A) 5年 2.0% 62.5万円
(5年間)
それ以外の増改築工事 〜(1,000万円−A) 5年 1.0%

(2)税額控除の特例 1年のみの控除で、控除額は標準的な費用の10%(上限25万円)。


減価償却の方法が定額法に一本化されます

2016年(平成28年)4月1日以後に取得する建物附属設備・構築物については、定率法による減価償却が廃止され、建物と同じように定額法のみとなります。

建物附属設備とは、照明設備や給排水・衛生設備、ガス設備、空調整備などのこと。構築物とは、建物以外の外構や植栽、駐車場のアスファルト舗装などをいいます。

建物や附属設備などの固定資産は、使っているうちにその価値が年々減少していきます。その価値の減少分を経費として計上していくのが減価償却です。定額法は、毎年同じ額を計上する方法。定率法は、資産を取得した当初の減価償却費が多く計上され、年々計上額が減少していく方法です。定率法も定額法も最終的に償却できる総額は同じですが、投資額の早期の回収や初期の所得税の節税メリットを考えて定率法を選ぶ人が多かったのではないでしょうか。

改正後は定額法により、毎年同じ金額の減価償却費を計上することになりますので、新たに賃貸住宅を建てられるオーナーさまはご注意ください。


少額減価償却資産の特例やサ高住の割増償却が延長

少額減価償却資産の特例とは、青色申告をしている中小企業や個人事業主が、1個あたり30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間の合計額が300万円に達するまで、取得した年に全額一括して経費に計上できる制度です。この特例が2018年(平成30年)3月31日まで延長されます。

また、一定の要件を満たしたサービス付き高齢者向け住宅を取得した場合、5年間にわたって通常の建物の減価償却費に上乗せして割増償却することができます。今回の改正では割増償却割合を見直した上で、2017年(平成29年)3月31日まで延長されます。



プロフィール

栗原 隆氏 近影

栗原 隆(くりはら たかし)

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。世界有数の会計事務所であるデロイト・ハスキンズ会計事務所に勤務後、四谷会計事務所にて相続や不動産の譲渡・買換えなど資産税を中心に担当する。中小企業経営者や不動産賃貸経営者のよきアドバイザー。著書に「知って得するやさしい税金」(鳳書院・共著)がある。CFP®、1級FP技能士、マンション管理士、宅地建物取引士の資格をもつ。

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