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大規模土地オーナーによる相続対策のポイント

税金

税理士 / 稲場 広宣

このコラムの内容は、2014年(平成26年)3月現在のものです。

2015年から相続税の基礎控除※1が4割減額され、税率構造※2も見直されます。広い土地、複数の土地を所有され、もともと相続税の負担が重い地主さんの場合は、ますます税負担が増加することから、従来以上に相続対策が重要となっています。今回は、大規模な土地オーナーが賃貸住宅経営による相続対策を計画される場合に、ご留意いただきたい注意点やポイントについてご紹介します。

※1相続税の基礎控除
相続税の基礎控除は、次のように引き下げられます。

現行 2015年1月以降
5,000万円+(1,000万円×法定相続人数) 3,000万円+(600万円×法定相続人数)

※2相続税の速算表
相続税の税率構造は6段階から8段階に細分化され、最高税率が引き下げられます。

課税遺産総額に各相続人の法定相続分を乗じた額 税率と控除額
現行 2015年1月以後
1,000万円以下 10% 10%-
1,000万円超 3,000万円以下 15%-50万円 15%-50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20%-200万円 20%-200万円
5,000万円超 1億円以下 30%-700万円 30%-700万円
1億円超 2億円以下 40%-1,700万円 40%-1,700万円
2億円超 3億円以下 45%-2,700万円
3億円超 6億円以下 50%-4,700万円 50%-4,200万円
6億円超 55%-7,200万円

節税だけではない相続対策3つのポイント

相続対策というと、相続税の節税対策と捉えられがちですが、節税という観点だけで相続対策を計画すると、後で困ったことになるケースもあります。

例えば、所有する唯一の広大な土地に大きな賃貸マンションを建てるとします。節税や収益の面では効率的かもしれませんが、いざ相続が発生した時に、複数の相続人の間でどうやって分割するかという問題が出てきます。であれば、最初から土地に分筆線を入れて複数棟を建て、分割しやすく計画しておくほうがいいでしょう。また、相続税がかかる場合は、納税資金の手当ても必要です。急に相続が発生しても困らないように、現金で準備できない場合は、すぐにお金に換えられる土地を残しておくのも1つの方法です。

節税、納税、遺産分割。この3つを押さえた計画が、あらゆる相続対策の基本なのです。

リスク対策を織り込んだ事業計画の重要性

相続対策のポイントを押さえた上で、大規模な土地活用の場合は投資金額が大きくなりますから、リスク対策が重要になります。

私はもともと信託銀行におりましたので、バブル崩壊後に不動産投資や株式投資で破たんされた方の実態を見てきました。リスクを考えない無理な投資は、いずれ歪みが出てきます。

万一、想定を超えるような最悪のことが起こったとしても、ちゃんと生き残れる―それが、取り得るリスクの限度だと思います。

最悪でも土地を売って借金を返済し、事業を手仕舞いすれば、そこそこの資産は残せる。その限度はいくらなのか。特に大規模な事業では、最初にリスク対策をしっかりお考えになった上で、計画を進められることをおすすめします。

地主タイプと投資家タイプ賃貸経営で成功するのは?

賃貸経営のオーナーさんには、ゆったり経営の地主さんタイプと、利回り追求の投資家タイプの方がいらっしゃいます。地主さんタイプの賃貸経営の目的は、家賃収入と相続対策の2つがあります。大規模な地主さんの場合、賃貸経営による相続対策をすることで、億単位で相続税を軽減できることも少なくありません。つまり、新築して賃貸するだけで、目的は半分達成しているわけです。ですから、目先の儲けのみにとらわれないで、ゆったりと長期安定経営を考えられる方が多いのです。

私が担当させていただいたオーナーさまは、典型的な地主さんタイプです。低層の賃貸住宅を敷地にゆったりと建て、明るく陽当りのいい住環境を入居者に提供し、街の景観にまで配慮されています。だからと言って、無理に高い家賃設定をするわけではない。

こういう経営をされると、利回りのみを追求する賃貸経営は、物件の魅力ではとうてい競争になりません。ですから、最終的に地主さんタイプのゆったり経営が、長期安定するケースが多いのです。

街並みをきれいにする、周辺の環境を良くするという発想は、大規模な土地活用だからこそ可能になります。そして、これからの賃貸経営には、こういう発想がますます重要になるのではないかと思います。周辺のイメージが良くなり、街に活気が生まれれば、入居者が集まって経営が安定する上に、ご自分の土地の価値を高めることにもなるのですから。


プロフィール

稲場 広宣氏 近影

稲場 広宣(いなば  ひろのぶ)

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。1985年、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)に入行。多忙な銀行業務の中、6年間で税理士試験に合格。金融資産運用・ローン・遺言信託などのコンサルティング、銀行経理・税務の担当など幅広い業務を経験後退職。現在、四谷会計事務所パートナーとして税務全般の業務を担当。特に不動産税務を中心とした資産税に豊富な経験実績があり、自らもアパートオーナーとして地主・オーナーと同じ視点で考える不動産の有効活用、賃貸経営の法人化、所得税・相続税の節税対策などに定評がある。パナホームの各種セミナー、研修会等の担当講師としても活躍。

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