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「生前贈与」でかしこい相続税対策

税金

税理士・コンサルタント / 奥村眞吾

このコラムの内容は、2013年(平成25年)11月現在のものです。

安倍政権の下、2015年から相続税への課税強化が打ち出されました。その中でも影響の大きいのが、「相続税の基礎控除の引下げ」です。従来までは(5,000万円+1,000万円×法定相続人数)まで相続税がかからなかったのが、2015年からは(3,000万円+600万円×法定相続人数)から相続税がかかるというわけです。

つまり、相続人数が3人の場合、相続税がかかる遺産額が8,000万円から4,800万円に引下げられる結果、都市部に一軒家を所有していればそれだけで相続税の対象になるというわけで、国は「小規模居住用宅地等の特例」の限度面積を拡大しました。

この特例は、同居など生計を一にしていた親族がその住宅の敷地を相続した場合、240㎡まで80%評価額が減額される制度ですが、その敷地面積が330㎡まで適用できるようになります。

このように2013年度の税制改正では、さまざまな改正があり、新しい税法も誕生しました。これらを踏まえ、今後の相続税対策にどのような方法があるのかを考えてみましょう。


相続時精算課税制度をかしこく活用する

一般の贈与(暦年課税)は、年間1人110万円までの贈与には贈与税がかかりませんが、最高税率は50%の累進課税です。

一方、相続時精算課税制度は、累積で2,500万円まで贈与税がかからず、それをオーバーする贈与も一律20%の贈与税率ですみます。ただし、贈与者が亡くなった時には、この制度を利用して贈与した財産は相続財産に合算され、納めた贈与税は相続税から控除するというものです。適用を受けられるのは、「65歳以上の親から20歳以上の子」が条件でしたが、2015年から「60歳以上の親から20歳以上の子または孫」までに範囲が広がります。

例えば、賃貸住宅の贈与を考えてみましょう。
建物の評価額は、建築代金ではなく固定資産税評価額です。固定資産税評価額は建築代金の6割が目安ですから、7,000万円で建てた賃貸住宅でも[7,000万円×60%]で4,200万円程度の評価になります。さらに賃貸住宅は、借家権割合の30%を控除できますので、[4,200万円×(1-30%)]で2,940万円となります。

これを子や孫に贈与したとしますと、相続時精算課税における贈与税額は[(2,940万円-2,500万円)×20%]。わずか88万円の贈与税を納めることによって7,000万円で建てた賃貸住宅が子や孫の所有となり、家賃も子や孫の収入となります。親の財産減らしもでき、子や孫の家計支援にもなる。一石二鳥というわけです。

相続時精算課税制度を利用した賃貸住宅の贈与で気を付けなければならないのは、この賃貸住宅のローンを子や孫に引き継がせることはできないということ。しかし、この事例からもわかるように、財産は現金預金で持ってるよりも建物に換えたほうが、結局、相続評価が下がって有利なのです。

教育資金一括贈与制度を活用する

子や孫に1人当たり1,500万円まで非課税で贈与できる教育資金一括贈与制度が、2013年4月から2015年12月末まで活用できます。

この制度は、信託銀行などに特定の口座を設けて管理を委託する信託契約を締結し、使途を教育費に限定するというもの。その口座は子や孫が30歳に達した日に終了し、残額がある場合には贈与税の対象とする新制度です。

贈与資金は、学校の入学金や授業料にあてるほか、そのうち500万円までは学校以外の、例えばピアノや絵などの習い事の費用にも使えるということで、かなりの人気だとか。孫の数だけ1,500万円が使えるので、富裕層には大きな相続税対策となります。

マイホーム取得資金の贈与を活用する

親や祖父母からマイホームの購入資金を贈与された場合には、2013年中だと最高1,200万円、2014年中だと最高1,000万円まで贈与税はかかりません。暦年課税の贈与税の非課税枠・年間110万円と比較すると、大きな生前贈与になります。

この制度は20歳以上の子が父母、祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受け、その資金でマイホーム(床面積50㎡以上・240㎡以下)を新築、取得または増改築をした場合が適用されますが、もらう子の年間所得が2,000万円までという制限があります。

注意しなければならないのは、購入する住宅が省エネ住宅ではない場合、2013年中は700万円、2014年中は500万円に減額されます。

また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに購入し、年末まで住んでいなければなりません。

以上のように、子や孫への生前贈与は有効な相続税対策の一つです。資産課税が将来ますます強化されることが予想される中、早めに実行することが肝心ですね。



プロフィール

奥村 眞吾氏 近影

奥村 眞吾(おくむら しんご)

(株)奥村企画事務所代表取締役、奥村税務会計事務所所長、OKUMURA HOLDING INC(米国)代表。上場会社をはじめ医療法人、公益法人、海外法人など多数の企業の税務や相続税対策に携わり、海外にも拠点を置いて海外税務も手がける。日本経済新聞社や NHK文化センター等の講師もつとめ、国内各地、ハワイ、ロサンゼルスなど海外でも講演活動を行っている。「住宅・土地税制がわかる本」「税金が安くなる法」(PHP研究所)など著書多数。

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