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消費増税に備える資産活用の対策

税金

TKC全国会会員 税理士 / 中辻 豊

このコラムの内容は、2013年(平成25年)6月現在のものです。

消費税の導入と増税これまでの経緯

日本にはじめて消費税が導入されたのは1989年(平成元年)、竹下内閣の時代で税率は3%でした。1997年(平成9年)には橋本内閣下で税率5%に増税。そして、皆さんすでにご承知のように、2012年(平成24年)8月の野田内閣の参議院本会議で、消費税率の引き上げを柱とする「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(いわゆる消費税増税法)が可決、成立しました。

これにより、現行5%の消費税率は--

2段階で引き上げられることになりました。つまり現状の消費税率5%は2倍に引き上げられるということです。賃貸住宅の建築や住宅の取得など、高額な取引は非常に大きな影響を受けることになります。

工事等の請負契約に関する経過措置について

ただし、賃貸住宅や住宅の取得については、請負工事契約の場合に限り、次のような消費税の経過措置が講じられます。

下図の2013年(平成25年)の「指定日」の前日、9月30日までに建築請負契約を締結すると、建物の完成・引き渡し時期が2014年(平成26年)4月1日の「施行日」以後であっても、改正前の税率5%が適用されます。

2013年(平成25年)10月1日から、2015年(平成27年)の「指定日」の前日、3月31日までに建築請負契約を結ぶと、建物の完成・引き渡し時期が同年10月1日の「施行日」以後であっても、消費税率は10%ではなく、引き上げ前の8%のままとなります。

請負契約・引渡し時期による税率の違い

  1. 2013年(平成25年)の指定日前の契約で8%施行日後の引き渡しの場合、5%の適用
  2. 2013年(平成25年)の指定日前の契約で10%施行日後の引き渡しの場合、5%の適用
  3. 2013年(平成25年)の指定日後、2015年(平成27年)の指定日前の契約で8%施行日後の引き渡しの場合、8%の適用
  4. 2015年(平成27年)の指定日前の契約で10%施行日後の引き渡しの場合、8%の適用
  5. 2015年(平成27年)の指定日後の契約で10%施行日後の引き渡しの場合、10%の適用

追加工事の契約時期にも注意が必要です

請負契約や引き渡しの時期によって、適用される消費税率が複雑に変わってきますから、賃貸住宅の建築や大規模修繕など、請負契約を伴う工事をご計画の方は、契約や引き渡しの日付に十分にご注意ください。

また、契約から完成・引き渡しまでの期間が長い請負契約では、追加工事が発生するケースも少なくありません。例えば下図の事例のように、2013年(平成25年)9月1日に賃貸住宅の新築請負契約をし、同年12月1日に追加工事の契約を締結して、翌2014年(平成26年)4月10日に建物の引き渡しを受けるような場合。当初の新築契約の工事費8,000万円については、「指定日」の前日までに契約をしているので5%の税率が適用されます。しかし、「指定日」以後に契約した追加工事費については、8%の税率が適用されることになります。

追加工事の請負契約時期と消費税率適用の事例

賃貸住宅の消費税対策は経過措置の適用が有利

個人の住宅の取得については、2013年度(平成25年度)の税制改正で住宅ローン減税を拡充する優遇措置が設けられました。「消費税率の引き上げ前後における駆け込み需要およびその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化し、および緩和する」と税制改正大綱に記載されています。消費税率が上昇しても、税制の優遇措置があるので、一方的に不利にはならないというわけです。

しかし、賃貸住宅については、消費税増税に伴うこのような優遇措置はありません。したがって、これから賃貸住宅を建築される方は、請負契約に伴う消費税の経過措置の適用を受けるほうが、間違いなくメリットが大きくなります。追加工事を含めた請負契約の時期をしっかり認識し、早々に契約されることが最善と言えるでしょう。



プロフィール

中辻 豊氏 近影

中辻 豊(なかつじ ゆたか)

1997年(平成9年)に中辻会計事務所を開設、2008年(平成20年)からTKC東大阪支部支部長。銀行融資対策と相続対策に造詣が深く、2012年(平成24年)には中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関の認定を第1次機関として受任。2013年(平成25年)3月に期限を迎えた中小企業金融円滑化法対策に支援機関として活動中。著書に『社長のための“いい税理士”の探し方』がある。

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