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賃貸住宅の消費税と増税対策のポイント

税金

公認会計士 / 深代 勝美

このコラムの内容は、2012年(平成24年)10月現在のものです。

賃貸住宅の建築時に支払う消費税はどうなる?

皆さんご存知のように、消費税の増税法案が国会で可決されました。今回の消費税率引き上げは、2段階で実施されます。2014年(平成26年)4月には現行の5%から8%に引き上げられ、さらにその1年半後の2015年(平成27年)10月には10%となり、一気に倍に跳ね上がります。

賃貸住宅建築時の消費税負担は経営にも影響を与えるだけに、相続税対策を目的とした土地活用や老朽賃貸住宅の建て替えを計画されている方は、増税対策が欠かせませんね。

では、旧税率5%の適用を受けるための期限は、いつまででしょう?原則では、不動産に対する消費税は「引渡し」を受けた時点の税率が適用になります。しかし、住宅や賃貸住宅を建築する場合、請負契約を締結してから完成引渡しまでに通常は数カ月かかります。税率5%で契約しても、引渡しが2014年(平成26年)4月1日以降になったら、8%の消費税を負担しなければいけないのでしょうか?

例えば、1億円の賃貸住宅を建築する場合の消費税

建築請負契約については経過措置があります

増税法案の経過措置賃貸住宅の建築のように完成引渡しまでに長時間を要する請負契約については、増税法案の中で経過措置が設けられています。

税率改正施行日の6カ月前(2013年(平成25年)10月1日)の前日(2013年(平成25年)9月30日)までに請負契約を締結した場合は、建物の引渡しが施行日以後になっても改正前の税率5%が適用されるというものです。

したがって、旧税率5%の適用を受けるための期限は、次のいずれかになります。

  1. 2013年(平成25年)9月30日までの「請負契約」締結
  2. 2014年(平成26年)3月31日までの「引渡し」完了

経過措置を利用する際に注意したいポイント

賃貸住宅の建築に関して、経過措置の対象となる契約にはいくつかあります。

  1. 工事の請負にかかる契約
  2. 測量・地質調査にかかる契約
  3. 工事の施工に関する調査、企画、立案、監理、設計にかかる契約

例えば、時間がないので(3)の設計契約だけを2013年(平成25年)9月30日までに締結すると、旧税率5%が適用されるのは設計契約のみで、工事代金には適用されません。ですから、トータルな費用を算定した建築請負契約を、2013(平成25年)年9月30日までに締結することをおすすめします。

その場合、概算の見積予定金額で請負契約を締結するケースもありますが、それも注意が必要です。完成時に予定金額よりオーバーする場合があるからです。例えば、1億円の予定金額で建築請負契約をして、結果的に1億2,000万円かかったとします。完成引渡しが2014年(平成26年)4月1日以後であれば、1億円までは税率5%ですが、増額分の2,000万円の税率は8%になります。

このように、消費税対策だけを優先した契約は、後々さまざまな問題が出てくる危険があります。賃貸住宅の建築は、敷地調査や市場調査、設計などが必要ですから、通常は請負契約を締結するまでに数カ月を要します。時間的な余裕を持ってしっかりした事業計画を立て、その上で請負契約を締結することが、本来の消費増税対策ですし、ひいては賃貸経営の成功にも繋がるでしょう。

消費増税対策は駆け込み需要の前がおすすめです!



プロフィール

深代 勝美氏 近影

深代 勝美(ふかしろかつみ)

世界有数の会計事務所であるデロイト・ハスキンズ会計事務所を経て、1985年(昭和60年)に深代会計事務所を設立。相続対策や不動産管理会社の活用など、資産税を得意分野とし、豊富な実績を持つ。日本公認会計士協会東京会副会長、(独)中小企業基盤整備機構 事業承継税制検討委員など、公職多数。

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