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賃貸併用住宅の固定資産税と相続税

税金

税理士 / 稲場 広宣

このコラムの内容は、2012年(平成24年)6月現在のものです。

200㎡超の敷地の固定資産税は賃貸併用が有利

住宅用地に対する固定資産税の減額措置

住宅用地に対する固定資産税の減額措置

自宅や賃貸住宅などの敷地は、住宅用地として固定資産税の評価額を減額して課税標準とする特例があります。

特例の内容は、その住宅の敷地のうち、住宅1世帯あたり200㎡までは小規模住宅用地としてその評価額の6分の1を課税標準とし、1世帯あたり200㎡を超える部分は住宅用地としてその評価額の3分の1を課税標準にするというものです。

例えば、300㎡の敷地に自宅(1世帯)を新築した場合、敷地のうち200㎡までは6分の1に、残りの100㎡は3分の1に減額されます。

一方、賃貸併用住宅は、例えば自宅1世帯+賃貸住宅8世帯の場合なら、1,800㎡(200㎡×9世帯)までが6分の1の減額対象となります。

このように200㎡超の敷地は、新築する住宅の世帯数によって固定資産税の負担が変わります。固定資産税は毎年負担するものですから、この点もよく理解して計画することが大切です。

賃貸部分は土地・建物の相続税評価額が減額

賃貸住宅の相続税評価額

賃貸住宅の相続税評価額

自宅の敷地の相続税評価額は、路線価などをもとに計算した自用地評価額になります。一方、賃貸住宅の敷地は貸家建付地評価額となり、首都圏などでは自宅の敷地より約20%減額された評価額※1になります。

また自宅の家屋は、自用家屋の評価額(固定資産税評価額×1.0倍)になりますが、賃貸住宅の場合は貸家の評価額となり、自宅家屋より30%減額された評価額になります。

賃貸併用住宅の場合は、敷地と家屋を自宅部分と賃貸部分の利用割合に応じて区分※2して、上記の方法で評価を行います。したがって、同じ規模で比較すると、自宅のみの場合より、賃貸併用住宅の方が賃貸部分の評価額が下がる分だけ、敷地も家屋も相続税評価額が低くなります。

※1 減額される額は、地域ごとに定められた借地権割合により異なります。

※2 敷地の利用割合は、一般的に家屋の利用割合に応じて計算します。例えば、家屋全体の床面積の70%が賃貸部分の場合は、敷地も70%が賃貸部分として区分します。

※3 借家権割合は、一般的に30%です。

小規模宅地等の評価減の特例について

小規模宅地等の評価減の特例

小規模宅地等の評価減の特例

自宅の敷地を配偶者や同居の子どもが相続する場合などは、相続税評価額が最大240㎡まで80%評価減の特例の対象となります。しかし、独立して自宅を構える子どもなどが相続する場合には、この特例の対象外になるなど条件が厳しくなり、最近の相続では全く評価減を受けられないケースが増加しています。

一方、賃貸住宅の敷地は、相続人が申告期限まで引き続き賃貸事業を継続する場合には、相続税評価額が最大200㎡まで50%評価減の特例の対象となりますので、条件が比較的緩やかです。

賃貸併用住宅の場合は、上記の※2で区分した自宅部分と賃貸部分の敷地について、それぞれ評価減の特例の適用を検討することになります。

例えば、将来、自宅のみの相続では評価減が受けられないことが想定される場合は、賃貸併用住宅への建て替えで、確実に賃貸部分の敷地の評価減を受けることも有利な選択肢の一つと考えられます。詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。



プロフィール

稲場 広宣氏 近影

稲場 広宣(いなば  ひろのぶ)

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。1985年、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)に入行。多忙な銀行業務の中、6年間で税理士試験に合格。金融資産運用・ローン・遺言信託などのコンサルティング、銀行経理・税務の担当など幅広い業務を経験後退職。現在、四谷会計事務所パートナーとして税務全般の業務を担当。特に不動産税務を中心とした資産税に豊富な経験実績があり、自らもアパートオーナーとして地主・オーナーと同じ視点で考える不動産の有効活用、賃貸経営の法人化、所得税・相続税の節税対策などに定評がある。パナホームの各種セミナー、研修会等の担当講師としても活躍。


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