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生前贈与を活用した相続税対策

税金

税理士・コンサルタント / 奥村 眞吾

このコラムの内容は、2011年(平成23年)9月現在のものです。

相続税対策における生前贈与について

平成23年度税制改正案では、相続税の基礎控除の引下げ、最高税率を50%から55%へと引上げ、さらには死亡保険金の非課税限度額の減少と、相続税の増税が話題になりました。そして今度は、東日本大震災の復興財源として、さらなる増税が予想されます。

土地所有者や資産家にとって、これからはいかに生前贈与をして相続財産を減少させるかが大きな課題となります。本年度税制改正においても、贈与税だけは、高齢者から若年層への資産の移転や活性化を図る意味から、課税を強化しませんでした。

住宅取得資金の贈与税非課税枠

親や祖父母から住宅取得資金をもらう際にかかる贈与税の非課税枠が、平成23年中は1,000万円になりました。基礎控除の110万円も利用すると非課税枠は1,110万円にもなります。この特例は、住宅取得資金をもらう子や孫の年間所得が2,000万円以下の場合にのみ適用されますが、ほとんどの場合は大丈夫でしょう。

またこの特例は、20歳以上の者が、その直系尊属(父母・祖父母・養父母等)から住宅取得資金の贈与を受け、そのもらった金銭で自分が住む住宅を新築、取得または増改築等をした場合です。床面積が50u以上であるなどの制限が付きますが、住宅の新築等に先行して取得する土地代金に充当することもできます。検討に値する相続税対策だと思われます。

通常の贈与について

一般的に1年間、110万円の贈与までは贈与税はかかりません。一人から贈与を受けても、数人から贈与を受けても、その人が1年間に贈与を受けた合計額から110万円が基礎控除として差し引かれます。「相続時精算課税制度」を選択しない場合や、親族あるいは第三者からの贈与は、すべて「通常の贈与税」で計算します。(右ページの計算式を参照)

しかし、通常の贈与税の税率の高さは驚くばかりです。1,000万円を超えると50%にもなり、おそらく世界一の超累進課税だと思われます。ただし、次に述べる「相続時精算課税制度」と異なり、相続時には相続財産に合算されないという大きなメリットがあります。(死亡時3年以内の贈与は合算されますのでご注意ください)

相続時精算課税制度について

相続時精算課税制度の非課税枠は、贈与財産が2,500万円に達するまで何度でも利用できます。仮に2,500万円をオーバーしても、オーバーした額に対しての税率は一律20%で、「通常の贈与」のように50%までかかるということはありません。

ただし、贈与者は満65歳以上の親で、受贈者は満20歳以上の子に限ります。

「通常の贈与」と「相続時精算課税制度」のどちらを選択するかは自由ですが、一度「相続時精算課税制度」を選択すると、二度と「通常の贈与」に戻ることはできないので注意を要します。


賢く活用したい相続時精算課税制度

下の事例では、子が172万円の贈与税を納めるだけで、親が8,000万円で建てた賃貸住宅が子の所有物件になります。その後、親との間で、子が地代を払わない土地の使用貸借契約書を締結します。

わずかな贈与税を支払うことにより、次のようなメリットがあります。

  1. 賃貸住宅の家賃収入はすべて子のものになり、 親への財産の蓄積を止めることができる。
  2. 子が家賃収入を貯めることによって、相続税の納税資金の確保ができる。

親が賃貸住宅を建設し子に相続時精算課税制度で贈与した事例
親が自分の土地に自己資金で8,000万円の賃貸住宅を建設し、賃貸住宅経営を開始。その後、建物のみを子(20歳以上)に相続時精算課税制度で贈与します。
この場合に子が納める贈与税額の計算
贈与税額の計算式

賃貸住宅を建てて子に贈与する時の注意点

●建物完成後すぐ実行しない

親の名義で登記完了後、入居者が生活し、賃貸事業を開始してからの建物贈与にしないと、建設資金の贈与とみなされる恐れがあります。

●負担付贈与にしないこと

事例では自己資金で賃貸住宅の建設を行うということで問題がありませんが、全額あるいは一部を借入金によっている場合は、借入金を子に負担させてはいけません。敷金や預かり保証金も同様になります。



プロフィール

奥村 眞吾氏 近影

奥村 眞吾(おくむら しんご)

(株)奥村企画事務所代表取締役、奥村税務会計事務所所長、OKUMURA HOLDING INC(米国)代表。上場会社をはじめ医療法人、公益法人、海外法人など多数の企業の税務や相続税対策に携わり、海外にも拠点を置いて海外税務も手がける。日本経済新聞社や NHK文化センター等の講師もつとめ、国内各地、ハワイ、ロサンゼルスなど海外でも講演活動を行っている。「住宅・土地税制がわかる本」「税金が安くなる法」(PHP研究所)など著書多数。

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