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税理士から見た老朽賃貸の建て替え

税金

税理士 / 稲場 広宣

このコラムの内容は、2011年(平成23年)7月現在のものです。

賃貸住宅経営の目的から建て替えを考える

老朽化したアパートや貸家の建て替えは、投資金額が大きいだけに、オーナーさまの多くは建て替え時期などについて判断に迷うものです。今回は、税務の観点から見た建て替えのメリットと、その税務処理について解説します。

まず、賃貸住宅経営の目的には、一般的に(1)事業としての利益の獲得があげられます。利益獲得のため、古い賃貸住宅を最低限の修繕などで長持ちさせ、なるべく長くその賃貸住宅で家賃収入を得るということも考えられます。

しかし、資産家の賃貸経営にはもう一つ、(2)相続税の節税対策という重要な目的があります。(1)の利益獲得も大切ですが、(2)の節税対策の観点での建て替え時期の検討がもれると、せっかく得た家賃収入が相続税の納税で消えることにもなりかねません。

資産家の方にとっては、賃貸経営の目的をバランス良く考慮した建て替え計画が重要になります。


賃貸住宅の建て替えによる相続税の節税メリット

相続税の建物の評価額は、固定資産税評価額となります。固定資産税評価額は通常、建築価格に比べてかなり低くなります。賃貸住宅の場合はさらにその70%で評価されますので、相続税評価額が大幅に下がります。

例えば、現金5,000万円の自己資金で賃貸住宅を建て替え、固定資産税評価額がその50%の2,500万円だったと仮定します。この場合の相続税評価額は、[2,500万円×70%=1,750万円]となります。建て替え前の現金5,000万円が、建て替え後は賃貸住宅(建物)1,750万円に相続税評価額が下がるわけです。財産評価額が約3分の1に圧縮されますので、相続財産が多く、高い相続税率での課税が予測されるケースほど節税効果が大きくなります。

このようにタイミングを逃さず思い切って建て替えを決断することが、相続税の節税対策として必要なケースも多々あると思われます。

建て替え計画のポイント!

「事業としての利益の獲得」と「相続税の節税対策」のバランスに考慮し、建て替え時期を検討しましょう。

建て替え費用に関する所得税の税務処理

次に、個人事業主のオーナーさまが建て替えを実施した場合、その諸費用について所得税の取り扱いを説明します。

立ち退き料と取り壊し費用

建て替えに際し、取り壊す賃貸住宅の入居者に立ち退いてもらうために支払う立ち退き料は、それを支払うことが確定した年の不動産所得の必要経費に算入されます。また建物の取り壊し費用は、取り壊した年の必要経費に算入されます。

既存建物の取り壊し損失(資産損失)

取り壊し時に建物の未償却残高(減価償却後の帳簿価額)がある場合は、取り壊し費用と同様、取り壊した年に「資産損失」として不動産所得の必要経費に算入されます。ただし、その時点でオーナーさまの賃貸経営の規模が事業的規模でない場合は、その資産損失が生じた年の「損失計上前の不動産所得の金額」を限度として必要経費に算入されます。

例えば、資産損失計上前の不動産所得が200万円で、資産損失の金額が250万円とすると、事業的規模でない場合は、不動産所得が0円になる200万円を限度として必要経費に算入されます。事業的規模の場合はこのような制限はなく、250万円全額が必要経費に算入されますので、不動産所得は▲50万円になります。

※事業的規模とは、アパート経営の場合は10室以上などの条件を満たす規模です。

損益通算と純損失の繰り越し控除

建て替えの年は上記の諸費用がかかり、賃貸住宅の家賃収入が一時的に減少することから、不動産所得が赤字になることも予想されます。その場合は、不動産所得の赤字と他の所得(例えば給与所得や年金などの雑所得)の黒字を相殺する「損益通算」ができます。

損益通算をしても、なお不動産所得の赤字が残る場合には、青色申告者の場合、翌年以降3年間の損失の繰り越しが可能になります。白色申告者の場合の損失は、原則として繰り越しなしの切り捨てになりますので、不動産所得の大幅な赤字が予想される場合などは、あらかじめ建て替え年の3月15日までに青色申告の届け出を検討してください。

相続税の節税メリットに加え、所得税の取り扱いにも十分に考慮した、計画的な賃貸住宅の建て替えをおすすめします。

【実例】築40年以上の文化住宅を社会人単身者向けの1LDK〜ワンルーム10戸に建て替え(兵庫県尼崎市)
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プロフィール

稲場 広宣氏 近影

稲場 広宣(いなば  ひろのぶ)

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。1985年、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)に入行。多忙な銀行業務の中、6年間で税理士試験に合格。金融資産運用・ローン・遺言信託などのコンサルティング、銀行経理・税務の担当など幅広い業務を経験後退職。現在、四谷会計事務所パートナーとして税務全般の業務を担当。特に不動産税務を中心とした資産税に豊富な経験実績があり、自らもアパートオーナーとして地主・オーナーと同じ視点で考える不動産の有効活用、賃貸経営の法人化、所得税・相続税の節税対策などに定評がある。パナホームの各種セミナー、研修会等の担当講師としても活躍。


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