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資産継承で重要な分割対策

税金

TKC全国会会員 税理士 / 中辻 豊

このコラムの内容は、2011年(平成23年)2月現在のものです。

相続税を節税するための評価額圧縮対策、争族を避けるための分割対策、そして相続税を支払うための納税資金対策――相続対策では大きくこの3つが柱になります。その中でもとくに重要となるのが分割対策です。 今回は、円滑な分割対策のための3つのポイントをご紹介します。

分割対策のポイント(1)安全確実な「公正証書遺言」

遺産分割を円滑に行うための、第一のステップは遺言です。というのも、遺言は故人の遺志ですから、法定相続分がどうであれ、原則的には遺言を優先して遺産を分割すべきだからです。遺言書を作成しておけば、“争族”が起こる可能性も低くなるでしょう。

通常の遺言書の作成方法は、[図表A]のとおり3種類ありますが、もっとも安全確実な方法は真ん中の「公正証書遺言」です。ただし、民法上「遺留分減殺請求権」が認められているため、万全ではないことをご承知おきください。

特定の相続人に対して最低限度に保証されている一定割合の遺産のことを「遺留分」といいます。相続が法定相続に反して特定の相続人に偏り、この遺留分が侵害されているときは、法定相続人(兄弟姉妹は除く)は一定の要件のもと「遺留分減殺請求」をして取り戻すことができます。

[図表A]普通遺言書の種類

自筆証書遺言
  • 全文と日付、氏名を手書きで書くことが条件。ワープロは厳禁です。
  • 封筒に封をする条件もなく、手続きは非常に簡単。
  • それだけに、誰かに見られ、改ざんされてしまう危険性があるのがデメリットです。
公正証書遺言
  • 遺言者の他に証人が2人以上必要となります。
  • 遺言内容は公証人の前で口述し、公証人は内容を書き留めます。
    遺言者と証人は内容に間違いがないことを証明するために自筆で署名し、捺印します。
  • それだけに、誰かに見られ、改ざんされてしまう危険性があるのがデメリットです。
秘密証書遺言
  • 遺言者の他に証人2人、公証人1人が必要です。
  • 自筆で全文と日付、氏名を書き、署名・捺印した遺言書を封筒に入れ、封をします。
    封をした箇所に捺印し、公証人が手続きを済ませます。
  • 開封する時も裁判所に行って公の場で開封します。

分割対策のポイント(2)「生前贈与」の使い方

生前のうちに子に財産を贈与してしまえば、もし親が亡くなっても名義が変わっているので相続財産にはならず、相続での紛争も避けられます。

この点を改善するものとして2003年(平成15年)から導入されたのが「相続時精算課税制度」です。この制度は、(1)贈与時に贈与財産に対する贈与税を納める (2)贈与者が亡くなった時に[贈与財産の贈与時の価額+相続財産の価額]の合計を基に相続税額を計算 (3)その相続税額からすでに納めた贈与税相当額を控除する という方法で贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

相続時精算課税の適用を受ける贈与は、2,500万円の特別控除があり、税率も一律20%に抑えられています。ただし、利用については条件や注意点がありますので、専門家へのご相談をおすすめします。


分割対策のポイント(3)分割が容易な「戸建賃貸住宅」

賃貸住宅経営をはじめる理由はさまざまですが、「空いた土地があるので有効利用したい。その上、相続税対策になれば」という方が多いと思います。

なぜ、賃貸住宅経営が相続税対策に向いているかというと、建築した建物の評価額と借入金の差額分の資産を圧縮することができ、さらに土地は貸家建付地評価となり、評価額が下がるからです。そこで、賃貸住宅を建設して相続税を節税し、なおかつ納税資金も確保しようというわけです。

しかし、集合住宅タイプの賃貸住宅は、分割対策について難しい面があるのも否めません。というのも、規模の大きな集合住宅の場合、「共有」あるいは「区分所有」という所有形態になることが多いからです。

集合住宅による相続対策で解消しにくかった「分割」という課題を解消する方法として、今注目されているのが「戸建賃貸住宅」です。

「戸建賃貸住宅」なら、いざ相続という時には1棟ごとに土地とともに分割して相続することが容易です。もちろん、生前は賃貸住宅として利用しておけば、評価額も圧縮できますし、納税資金対策にもなります。

[図表B]相続手続きの流れ

3ヶ月以内
  • 遺言書の有無の確認
  • 亡くなられた方の資産と債務の把握
  • 相続の放棄、限定承認
4ヶ月以内
  • 亡くなられた方の所得税申告、納付
10ヶ月以内
  • 遺産の評価
  • 遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)
  • 遺産分割の手続き(名義変更や換価処分)
  • 相続税の申告と納付

プロフィール

中辻 豊氏 近影

中辻 豊(なかつじ ゆたか)

1997年(平成9年)に中辻会計事務所を開設、2008年(平成20年)からTKC東大阪支部支部長。銀行融資対策と相続対策に造詣が深く、2012年(平成24年)には中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関の認定を第1次機関として受任。2013年(平成25年)3月に期限を迎えた中小企業金融円滑化法対策に支援機関として活動中。著書に『社長のための“いい税理士”の探し方』がある。

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