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小規模企業共済制度とは?

税金

TKC全国会会員 税理士 / 松本 直哉

このコラムの内容は、2010年(平成22年)11月現在のものです。

小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模な会社のオーナーの皆さんが、退職後や廃業後の生活資金を積み立てておくための共済制度です。掛金は全額所得控除となり、共済金を受け取る際にも課税上の恩恵があることから、賃貸住宅オーナーさまにとっても魅力的な制度と言えます。

個人事業主などのための退職金制度です

小規模企業共済制度は、個人事業主または小規模な会社等の役員の方々のための、いわば国がつくった退職金制度です。運営は国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が行っています。

加入資格

常時使用する従業員の数が20人以下(商業では5人以下)の個人事業主、または会社等の役員の方々が対象になります。不動産賃貸業であれば、貸家5棟もしくは貸部屋10室以上の規模が必要です。

事業専従者、サラリーマンで副業的に賃貸経営をされている方、登記簿謄本に役員登記されていない方は加入できませんが、2010年(平成22年)度の法改正で、個人事業の経営にたずさわる方が一定の要件を満たせば、事業主の配偶者や後継者、親族以外の方も加入することができるようになります(2011年(平成23年)1月1日より適用)。

共済金等の種類と受取方法

共済金等は[図表(1)]のように、請求の事由によって区分されており、受け取れる金額が違います。受取方法は「一括受取」「分割受取」「一括と分割の併用」があります。

[図表1]

共済金等の種類 請求事由
個人事業主の場合 会社などの役員の場合
共済金A ●事業を廃止したとき
●契約者が亡くなったとき
●会社等が解散したとき
共済金B ●65歳以上であって15年以上掛金を納付し、請求したとき(老齢給付) ●疾病、負傷により役員を退任したとき
●契約者の方が亡くなられたとき
●65歳以上であって15年以上掛金を納付し、請求したとき(老齢給付)
準共済金 ●配偶者または子に事業の全部を譲渡したとき
●個人事業を現物出資によって法人化して、その法人の役員にならなかったとき
●疾病、負傷以外の理由で役員を退任したとき
解約手当金 ●個人事業を現物出資によって法人化して、その法人の役員になったとき
●任意解約
●掛金を12カ月以上滞納したとき
●任意解約
●掛金を12カ月以上滞納したとき

掛金・共済金ともに税務上のメリットがあります

掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、[図表(2)]のように所得税・住民税が節税できます。

[図表2]

課税される所得金額 加入前の税額(1) 加入後の税額(2) 節税額 (1)−(2)
所得税 住民税 所得税 住民税
300万円 202,500円 304,000円 178,500円 280,000円 48,000円
500万円 572,500円 504,000円 524,500円 480,000円 72,000円
1,000万円 1,764,000円 1,004,000円 1,684,800円 980,000円 103,200円

また、15年以上掛金を納付し、65歳以上になってから共済金として受け取れば、一括受け取りの場合は「退職所得」、分割で受け取る場合は「公的年金等」として扱われるため、いずれも課税上の恩恵を受けることができます。契約者が死亡して遺族が受け取る場合も、退職手当金等の非課税限度額までは課税の対象とならないため、預貯金より共済金で受け取るほうが相続税は軽減されます。

デメリットとしては、15年未満で解約すると元本割れする可能性があります。しかし、掛金は千円から7万円まで自由に変更することができるため、継続しやすい制度といえるでしょう。

共済金の受取方法により税法上の扱いが変わります

[図表(1)]の共済金および解約手当金は、受取方法などで税法上の取り扱いが異なり、税額も違ってきます。具体的なケースで見てみましょう。

事例の前提条件
●共済金または解約手当金:1,000万円
●他の所得なし、扶養親族なし
●健康保険料:20万円

(1)共済金(準共済金)を一括で受け取る

「退職所得」の扱いになり、[収入金額(共済金)−退職所得控除額]に対して課税されます。退職所得控除額は以下の通りです。※勤続年数とはこの場合、掛金の払込年数です。

(1)共済金(準共済金)を一括で受け取る

例えば、勤続年数25年の方が1,000万円の共済金を一括で受け取った場合、表の算式により退職所得控除額は1,150万円。退職所得の金額は0円となり、所得税はかかりません。

勤続年数 退職所得控除額
1年 80万円
2〜20年 勤続年数×40万円
21年以上 800万円+(勤続年数−20年)×70万円

(2)解約手当金として受け取る場合

「一時所得」の扱いになり、[(収入金額−収入を得るために支出した金額−50万円)×1/2に対して課税されます。解約手当金1,000万円を受け取る場合は、[(1,000万円−0円−50万円)×1/2]となり、一時所得の金額は475万円。ここから社会保険料控除20万円・基礎控除38万円を差し引いた417万円が課税所得となり、所得税406,500円がかかります。

(3)共済金を分割で受け取る場合

「公的年金等の雑所得」扱いになります。例えば、65歳以上の方が1,000万円の共済金を15年で受け取るケース(年間の国民年金80万円・共済金72万円)で計算すると[80万円+72万円−120万円(公的年金控除額)=32万円(雑所得の金額)]。雑所得の金額から社会保険料控除20万円、基礎控除38万円を差し引くと課税所得は0円となり、このケースでは所得税はかかりません。

(4)契約者が亡くなり遺族が共済金を受け取る場合

相続税法上、「退職手当金等」として扱われ、退職手当金については[500万円×法定相続人の数]が非課税限度額として設定されています。例えば、法定相続人が2人の場合、非課税限度額は1,000万円となり、1,000万円の共済金に対して相続税は課税されません。


プロフィール

松本 直哉氏 近影

松本 直哉(まつもと なおや)

明治大学法学部卒業、2004年(平成16年)より松本博税理士事務所に勤務。2007年(平成19年)、近畿税理士会泉大津支部に税理士登録。翌年TKC全国会に入会し、現在、創業経営革新支援員会委員として活動。


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