税金一次・二次の相続をかしこく乗り切る節税対策

税理士稲場 広宣PROFILE

このコラムの内容は、2017年(平成29年)5月現在のものです。

両親のどちらか一方が先に亡くなった場合の相続を「一次相続」、その後に残された親が死亡し、子だけで行なう相続を「二次相続」といいます。相続税を低く抑えてかしこくこの2回の相続を乗り切るためには、相続税の特例である「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の評価減」をいかに効果的に活用するかが、重要なポイントとなります。今回はこれらの特例の概要と活用法の基本的な考え方を解説します。

一次相続では「配偶者の税額軽減」を活用

配偶者の税額軽減とは、配偶者の取得する相続財産が<配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額>までは、相続税がかからない特例です。

相続人が配偶者と子どもの場合、子どもの人数に関係なく配偶者の法定相続分は2分の1です。仮に相続財産が4億円とすると、2分の1の2億円と1億6,000万円を比較して、大きい方の2億円までは財産を相続しても相続税がかからないということです。配偶者のみが適用対象ですので、一次相続の時しか使えません。

では、特例を活用するにあたって配偶者がどの程度の財産を取得するのが効果的なのでしょう?

実際には相続財産の内容や総額、配偶者の固有財産の状況などにより個別に検討が必要ですが、基本的には次のような考え方で特例を活用します。

  1. 配偶者が特例を活用して相続税の負担を抑え、二次相続を考慮した一定額までの
    財産を取得する。
  2. その後、二次相続までの時間を利用して相続税対策を行う。

例えば、●賃貸住宅等を建築できる宅地や建て替え予定の賃貸住宅などを配偶者が一次相続で取得し、その後、新築や建て替えを行ない相続税評価額の引き下げを図る ●配偶者が相続した現金・預金などを計画的に子や孫に贈与する などが考えられます。

小規模宅地等の評価減」を一次・二次で効果的に活用

小規模宅地等の評価減とは、相続税の計算にあたり、宅地の相続税評価額を大幅に減額できる特例です。

例えば相続等により、被相続人等の自宅の敷地を、配偶者または同居の親族など一定の要件を満たす人が取得した場合には、330㎡まで評価額を80%減額できます。また、被相続人等の賃貸事業を引き継いだ親族などが貸家の敷地等を取得し、一定の要件を満たす場合には、200㎡まで評価額を50%減額できます。

効果的な活用法としては、次の2点が考えられます。

  1. 一次相続では、配偶者は「配偶者の税額軽減」で相続税がかからないようにすることもできるので、配偶者以外の相続人に優先的に特例を適用することが効果的。
  2. 一次相続で配偶者が相続する財産に、二次相続でこの特例の適用が可能な宅地等を含めることで、子などの親族が二次相続でもこの特例を活用することができる。

特例の適用にはスムーズな遺産分割がポイント

ご紹介した2つの特例は相続税の申告期限(相続開始から10カ月以内)までに遺産分割が確定した財産のみが、原則として適用の対象となります。

遺産が未分割の場合には、これらの特例を適用しないで、相続人が民法の法定相続分で相続したものとして、いったん相続税の申告納税を行います。そのため当初の納税額が非常に大きくなるケースもあります。その後、遺産分割確定後にこれらの特例等を適用した申告を再度行なうことで、税金の取り戻しを行なうことも可能です。ただし、一連の手続きには一定の書類の提出や期限があります。遺産分割が長期間まとまらず、税金の取り戻しができないケースもあります。

このことから、申告期限内のスムーズな遺産分割が何より重要です。なるべく早い時期に検討を進め、以下のような事前の周到な準備を行うことで、スムーズな遺産分割と特例の活用により、相続税を低く抑えたかしこい相続が可能になります。

参考:一次相続・二次相続の相続税比較">

※2015年(平成27年)1月1日以後の相続

一次相続・二次相続の相続税比較図

  1. 「二次相続後の各財産の最終的な所有者を誰にするのか」を決める。
  2. 上記を踏まえた上で「一次相続の時の各相続人の取得する財産をどうするのか」と「各特例の効果的な活用」を検討する。
  3. さらに状況の変化があった場合には「プランの見直し」を行う。

税理士稲場 広宣(いなば ひろのぶ)

稲場 広宣氏 近影

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。1985年、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)に入行。多忙な銀行業務の中、6年間で税理士試験に合格。金融資産運用・ローン・遺言信託などのコンサルティング、銀行経理・税務の担当など幅広い業務を経験後退職。現在、四谷会計事務所パートナーとして税務全般の業務を担当。特に不動産税務を中心とした資産税に豊富な経験実績があり、自らもアパートオーナーとして地主・オーナーと同じ視点で考える不動産の有効活用、賃貸経営の法人化、所得税・相続税の節税対策などに定評がある。パナホームの各種セミナー、研修会等の担当講師としても活躍。

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