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地域に貢献する高齢者住宅事業を考える

市場動向

大阪市立大学大学院 生活科学研究科教授 三浦 研

このコラムの内容は、2014年(平成26年)7月現在のものです。

4人に1人が高齢者の日本は、気がつけば世界一の超高齢社会です。さらに2035年には、3人に1人が65歳以上という社会が到来すると予測されています。 少子化で若者が減少する中、これからの高齢者のくらしをどう支えていくか。そのための重要な施策と位置付けられているのが、従来の「施設」ではなく、高齢者が安心してくらせる「住まい」の整備です。今回は、急速に普及しつつある高齢者住宅の現状と、これからのあり方について考えてみましょう。


法改正で創設された「サ付き住宅」への期待と課題

超高齢社会に対応するため、2011年秋に「高齢者住まい法」が改正され、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ付き住宅)が創設されました。少なくとも安否確認や生活相談サービスを提供する高齢者の「住まい」です。

今までは、介護が必要になれば介護施設に入るというのが一般的な認識でした。しかし、本当に高齢者自身が施設に入ることを望んでいるかというと、必ずしもそうではありません。「住み慣れた地域でくらしたい」「可能な限り自立したい」「できるだけ支援を受けずにくらしたい」など、自宅で住み続けたい人が大半なのです。

ただし、在宅で介護を受けるとなると、24時間の見守りという点には課題があります。施設では何かあればすぐに職員が対応できますが、在宅の場合は駆け付けるまでにどうしてもタイムラグが生じます。そういう意味で、高齢者が安心してくらせる住まいとして、サ付き住宅が期待されているのです。そのためには、安否確認や生活相談という必須サービスだけでなく、生活支援のサービスをきちんとつけることが必要です。

法改正以降、補助金などの優遇措置もあることから、年間3万戸以上のサ付き住宅が建てられています。といっても、欧米では人口の5〜6%くらいの高齢者住宅がありますが、日本ではわずか1%足らず。まだまだ遅れています。

サービス付き高齢者向け住宅の優遇措置

新築の場合、一定の基準を満たすことを条件に、次のような優遇措置が設定されています。

補助金 建築費の10分の1 (1戸当たり上限100万円、生活支援部分は1施設当たり上限1,000万円)
税制
  • 所得税:当初5年間、40%割増の償却(耐用年数35年未満は28%)
  • 固定資産税:当初5年間、税額の3分の2を軽減
  • 不動産取得税:建物は課税標準から1戸当たり1,200万円を控除
融資 サービス付き高齢者向け住宅に対する住宅金融支援機構の賃貸住宅融資の実施と要件の緩和など

※上記の優遇措置は2014年4月30日現在のもので、建築条件や社会情勢、法改正などで変更される場合もあります。

認知症の方も安心してくらせる理想の高齢者住宅

「リロケーションエフェクト」という言葉がありますが、高齢期の環境の急激な変化は、肉体的・精神的に大きなダメージになることが過去の研究で示されています。また、住み慣れた環境でも孤立してしまうとダメージになります。日々のくらしの中で心が通い合うような、交流を持てる状況が望ましいのです。

今、要介護度の高い認知症高齢者の増加が大きな問題になっています。

これまでの介護施設は、医療や介護を提供する側の視点で「施設」としてつくられてきました。住宅とかけ離れた空間では、高齢者がどうふるまっていいかわからない。その結果、自宅で普段していたさまざまな生活行為自体ができなくなって、問題行動につながってしまうこともあります。

また、介護を中心に建物をつくると、見守りを重視して死角のない目の届きやすい設計になり、逃げ場というかプライバシーのない空間になってしまいます。

生活面と安全面、介護とプライバシーのバランスを取りながら、住まいらしさを失わない工夫が必要です。日々の生活行為を高齢者がなるべく自分の力で取り組めるような環境を整え、できないことを支援する、そんな高齢者住宅が理想的なのです。

サ付き住宅という枠組みは、できてからまだ2年半。認知症高齢者をどう支えていくかは、これからの大きな課題となるでしょう。

そんな中、今回、パナホームが認知症高齢者に配慮したサ付き住宅を開発されたということは、社会的にも重要なメッセージになると思います。

超高齢社会に必要とされる誇りある土地活用

オーナーさまと事業者さまをつなぐパナホームのケアリンクシステム

オーナーさまにお建ていただいた高齢者住宅をパナホームグループが長期一括借上げし、事業者へサブリースする仕組みです。オーナーさまには手間のかからない安心経営を、事業者さまにはスムーズな開業をサポートします。

※地域・賃貸管理会社・条件などによって、サービスがご提供できない場合があります。

高齢者住宅は、医療や介護の事業者が自分たちの専門性でサービスを提供して、器はハウスメーカーが担うというのがあるべき姿だといえるでしよう。住まいのプロであるパナホームをはじめとするハウスメーカーの役割は、大きいですね。

これからの人口動態を考えると、高齢者住宅の需要が増えることは間違いありません。画一的な施設ではなく、高齢期に心豊かにくらせる住まいとしてつくられていけば、それは意義深いものになると思います。

しかし、建物を建てられるオーナーさま、そして近隣の理解や協力がなければ、大幅に不足している高齢者住宅の増加も見込めません。

高齢者住宅の多くは賃貸住宅として建設されるわけですが、オーナーさまには収益性や税金対策に加え、地域貢献や近隣の方々に支持される社会ストックという視点から、ぜひ誇りある土地活用に取り組んでいただきたいと思います。



プロフィール

三浦 研氏 近影

三浦 研(みうら けん)

専門分野は、建築計画、環境行動学。特養、グループホーム、小規模多機能サービス、認知症に配慮した環境計画など、環境行動理論に基づく高齢者施設や住宅の計画・設計・研究および視覚障害者の歩行特性など、ユニバーサルデザインの街づくりについて実践および研究に取り組んでいる。

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