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今、注目を集める太陽光発電を考える

市場動向

東京大学 教養学部 客員准教授 /松本 真由美

このコラムの内容は、2014年(平成26年)1月現在のものです。

再生可能エネルギーの主役として、太陽光発電システムが大きな注目を集めています。太陽光は自然界に存在し、資源が枯渇することなく無限であって、持続可能なエネルギーです。風力や地熱といった他の再生可能エネルギーと比べ、導入までの時間が短くて済むというメリットがあります。また、日本には技術的にも豊富な蓄積があり、利用者は信頼性の高い製品を選ぶことができます。今回は、持続可能なエコな社会に貢献する環境・エネルギーの視点から、太陽光発電の現状と今後の課題や見通しについてご紹介します。


固定価格買取制度で太陽光発電市場が急成長

「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が始まった2012年7月を境に、太陽光発電の状況は大きく変化しました。経済産業省の発表によると、2012年7月から2013年7月末までの運転を開始した再生可能エネルギー発電設備の導入量は408.6万kW。そのうち9割以上の391.6万kWが太陽光発電設備となっています。

2011年度以前の太陽光発電の累積が約530万kWですから、わずか1年ちょっとで長年の累積量の6割以上が新たに導入されたことになります。制度のスタート当時は誰も想像がつかなかったような大きな量といえるでしょう。

2013年度の固定買取価格は、10kW未満は内税方式で1kWhあたり税込38円、10kW以上は外税方式で税込37.8円です。しかし、10kW未満だと売電できるのは余剰電力のみで期間も10年間。10kW以上だと20年間の全量買取が可能になるため、トータルの売電金額を考えると、10kW以上が有利に設定されています。

先ごろ経済産業省が発表した来年の重点方針の一つに、環境・エネルギー政策の推進があげられています。再生可能エネルギーの最大限の導入を推進するとのことですので、今後も太陽光発電の普及促進に力を入れるものと思われます。

また、研究・開発分野においても、太陽光パネルの高性能化、長期信頼性の向上、新規の製品開発などに向けた取り組みも拡大しています。

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(2013年度)

※2013年4月〜2014年3月に電力会社への申し込みが受理された場合の条件。

太陽光発電設置容量 10kW以上 10kW未満
買取価格 1kWhあたり37.8円(36円+消費税5%) 1kWhあたり38円(税込価格)
買取期間 20年間 10年間
買取方法 余剰or全量買取の選択可能 余剰買取

将来的には買取価格の引き下げも

固定価格買取制度はこのように予想以上の効果を発揮していますが、課題もあります。買取価格が政策的に高く設定されているため、追加的な費用(賦課金)が電気料金に上乗せされることです。今後は、導入量や発電コストを丁寧に確認し、買取金額を適切に調整していくことが重要です。

固定価格買取制度を13年前にスタートしているドイツでは、太陽光の買取価格を引き下げるタイミングを誤り、賦課金が増大したことから国民の間から不満が出ました。政府の想定以上に太陽光発電の導入量が急速に拡大したため、買取費用が膨れ上がり、買取制度の見直しを行いました。現在ドイツで導入されている太陽光は約3,400万kWですが、5,200万kWに達した時点で新規買取を打ち切ることを決定し、市場の過熱を抑える仕組みに変更しています。

日本がドイツと同じ轍を踏まないためには、柔軟に買取価格を引き下げられる仕組みをつくっておくべきでしょう。

未来につながるエコな社会をつくるために

いずれにしても、地球温暖化対策として低炭素社会をつくっていくことが必要です。化石燃料は使い勝手のよい便利なエネルギーですが、発電等の燃焼時にCO2などの温室効果ガスを排出します。低炭素化を図るためには、化石燃料の高効率利用と発電時にCO2の排出が少ない再生可能エネルギーの普及は不可欠です。

太陽光発電はこれからの時代にマッチし、未来につないでいく持続可能な社会をつくっていくことにも貢献します。なおかつ経済性が伴い、投資の対象としても十分ペイするというのは、理想的な形ともいえるでしょう。賃貸住宅や高齢者施設に太陽光発電を導入するのはオーナーのメリットになり、環境負荷を減らしてエコに貢献するという意味でも、入居されている方のプライドにもつながるのではないでしょうか。

日本の固定価格買取制度は、まだスタートしたばかりです。今後の普及状況をぜひ見守ってください。

フィカーサ エコソレイユ PV搭載量:19.04kW

フィカーサ エコソレイユ PV搭載量:10.71kW/棟



プロフィール

松本 真由美 近影

松本 真由美 (まつもと まゆみ)

専門は環境/科学技術コミュニケーション。テレビ朝日報道局を経て、CNNニュース、NHK BS-1ワールドニュースのキャスターとして国際ニュースを伝える。現在は東京大学での教育と研究活動の傍ら、シンポジウムのコーディネーター、講演、執筆など幅広く活躍。NPO法人国際環境経済研究所 理事

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