賃貸住宅経営・土地活用 TOP > 役立つ専門家コラム TOP > 市場動向(2012年11月号)家賃収入を第二の年金にするために

家賃収入を第二の年金にするために

市場動向

税理士 / 尾原 宏紀

このコラムの内容は、2012年(平成24年)11月現在のものです。

脚光を浴びる不動産投資による自分年金づくり

野田内閣による税と社会保障の一体改革は、消費増税のみが決まりましたが、社会保障の改革についてはいっこうに進んでいないようです。もともと今の社会保障の財源不足の問題は過去の使いすぎが原因ですから、今後どのような改革案が出てこようと、現役世代の負担の増加と高齢者世代への給付の減額は避けられないところです。

社会保障だけではありません。わが国をめぐる経済環境はデフレと円高に長らく苦しめられてきているのですが、世界的にも不況の影が色濃くなりつつあります。今後は増税に加えて、円安とインフレへの懸念が現実味を増してきています。もはや、国に頼っていたのでは、私たちの老後の生活に対する不安感はいつまでたっても払拭できません。

そんな中、最近、賃貸用不動産への投資による自分年金づくりが脚光を浴びています。家賃収入が得られる不動産物件に投資をし、その家賃収入を公的年金に次ぐ第二の年金にしようというものです。

たしかに賃貸物件による家賃収入は、事業や株式等に投資するよりは安定しているように思われます。また、相続対策、さらにはインフレ対策としても注目されています。

しかしながら、リターンを得るためには必ずリスクが伴います。不動産に関するものは金額が大きくなりますから、より慎重な態度が求められます。ここでは、賃貸不動産への投資を確実に第二の年金にするために、私たち税理士の目から見た投資計画のチェックポイントをご紹介します。

表面利回りと実質利回りはここが違う

よく収益用不動産物件のチラシなどに、8%とか10%とかの利回りを表示して、「高利回り!」とうたっているものがあります。

しかし、それは表面利回りといって、現在の年間賃料を不動産の取得費用で割っただけのものですから、それを単純に他の預貯金等の利率と比べて有利不利を判断してはいけません。

預貯金等の利子や配当は、資金を銀行に預けておけば放っておいても計算通りの金額の利息や配当が手に入ります。しかし、家賃収入の場合は、さまざまなコストを負担しなければなりません。これらのコストの合計額を収入から差し引きした残りが、最終的に手元に残る利益となります。

このように利益を算出するための計算を損益計算といいます。賃貸不動産に投資してみようとお考えの方は、この損益計算が長期的にどうなるかをできるだけ正確に見積もっておかなければなりません。

損益計算とは・・・・家賃収入−費用=利益

そして、この損益計算で得られた利益を取得に要した金額で割ったものが、正味の利回り、つまり実質利回りです。もしこれが預貯金の利率よりも低い場合には、不動産投資をするよりも銀行に預けておいた方が得だということになります。

実質利回りとは・・・利益/不動産の取得費用

キャッシュ・フローが第二の年金になる

たとえば、新規に土地と建物の両方を取得して賃貸事業をする場合、それらの取得価格によっては採算がとれない可能性があります。逆に理想的なのは、高い家賃で高い入居率の期待できる都心部で、はじめから土地を持っているようなケースです。期待できる利益がより大きくなり、投下する資金がより小さくなるため、高い実質利回りを期待できます。

もし都心から外れたところに土地をお持ちの場合でも、入居者の確保が確実で、もともとのコストが低い場合は採算が合うかもしれません。入居に不安がある場合は一括借り上げというシステムもあります。ただし、一括借り上げは家賃そのものを保証するものではありませんから、余裕を持った損益予測を立てておく必要があることに変わりはありません。

前述のような実質利回りの計算をした結果がどうやら良さそうだと思われても、ゴーサインを出すには毎月(毎年)手元に入るお金、すなわちキャッシュ・フローの検討が必要です。

キャッシュフローとは・・・
「利益」+減価償却費−借入金の返済元本

利益を求めるための損益計算のうち、建物の購入費を按分した減価償却費は現実の現金の支払いを生じませんから、利益に戻してやります。

また、同様に借入金の元本返済部分は、実際には現金の支出を伴うものの上記の損益計算には含まれず、利益の中から支払わなければなりませんから、これを差し引いてやります。こうすることで、その期の現金の増減だけを取り出すことができます。

このキャッシュ・フローこそが、皆さんが受け取ることのできる第二の年金になるのです。

分散投資・相続税対策から考える不動産投資

消費税増税が決まり、相続税についても増税が検討されている中、賃貸用不動産の購入に関するご相談が増えてきました。最初に触れたように経済情勢が激変する中、これからは慎重論だけでは自分の老後の生活や財産を守れないかもしれません。

不確実な時代に対応するために最も有効なのは、分散投資だと思います。ここで述べたように慎重な考慮の上であれば、不動産投資は一つの選択肢として十分に検討されて良いと思います。

賃貸用不動産を所有することが相続税法上の節税につながることは、いろいろなところで紹介されていますので詳しいことはここでは述べません。簡単にいうと、例えば1億円の現金と時価1億円の賃貸用不動産に相続税が課される場合、現金はそのまま評価されますが、賃貸用不動産は大幅に減額されて評価されます。相続税がその分安くなるので、現金より賃貸用不動産で持っている方が得だというものです。

たしかにその通りなのですが、相続税対策で重要なことは、長期に包括的な対策を確実に実行していくことで、一部の財産だけを取り出して節税を論ずることはできません。将来の生活設計や相続についてお考えの際は、ぜひ専門家にご相談ください。



プロフィール

尾原 宏紀氏 近影

尾原 宏紀(おばら ひろき)

税理士法人土肥会計事務所 代表社員。2007年に税理士法人を設立。事業承継、相続、資産活用のコンサルティングのほか、法人向けタックス・プランニングや経営計画の策定・実践支援などに注力している。近畿税理士会 東大阪支部所属。
TKC南近畿会 東大阪支部所属。

土肥会計事務所のWebサイトは「土肥会計.com」で検索してください。

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