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最近の判例に学ぶ賃貸借契約の動向

市場動向

弁護士 / 桝井眞二

このコラムの内容は、2011年(平成23年)10月現在のものです。

この夏の最高裁判決で「更新料」問題がついに決着

去る2011年(平成23年)7月15日に、注目すべき判決が最高裁判所で言い渡されました。

借家契約の更新料支払い条項を有効と見るか、無効とするかについては、高等裁判所の判断が分かれていましたが、最高裁がはじめて「原則として有効」との見解を示し、この問題に決着を付けたのです。

仮に無効の判断となっていれば、賃貸借取引に与える影響はきわめて大きかっただけに、賃貸人・賃借人をはじめ、不動産業者も固唾を呑んで成り行きを見守っていた問題でした。

今回は、具体的にどういう事例に対する最高裁の判断なのかを詳しく見てみましょう。また、賃貸借契約の今後の動向についても解説します

高裁の判断が分かれた3件の事例

更新料支払い条項を無効とする裁判例は、2001年(平成13年)4月1日に消費者契約法が施行されて以降、徐々に出始めました。借家契約にも消費者契約法が適用されるのですが、「消費者の利益を一方的に害する契約条項は、無効とする」との消費者契約法10条の規定に、更新料支払い条項が該当すると判断されたのです。

高裁レベルではじめて「無効」の判断が出されたのは、2009年(平成21年)8月の大阪高裁判決です。<賃料45,000円 更新料は1年ごとに10万円>という事例でした。

ところが、同年10月には同じく大阪高裁で、今度は「有効」とする判断が出ました。この時は<賃料52,000円 更新料は2年ごとに賃料の2ヶ月分>という事例でした。

しかし、2010年(平成22年)2月には<賃料38,000円 更新料1年ごとに賃料の2ヶ月分>という事例で、再び大阪高裁が「無効」と判断したのです。

わずか半年の間に、高裁が「有効」「無効」の正反対の判断を下したのはきわめて珍しいケースであり、法曹関係者も注目する中での今回の最高裁の判決でした。

最高裁は次のとおり判断し、上記の3つの事例の更新料支払い条項をすべて「有効」としました。
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条(中略)には当たらないと解するのが相当である。

「敷引特約」についての最高裁の判断

実は、更新料支払い条項に関して最高裁が有効の判決を下すことは、ある程度予想できていました。

2011年(平成23年)の3月と7月12日に、保証金のうち一定額(いわゆる敷引金)を控除し、これを賃貸借契約終了時に賃貸人が取得するという、いわゆる「敷引特約」について、「敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情があれば格別、そうでない限り」無効ということはできないとの判断を最高裁が示していたからです。

敷引特約は関西や九州などでよく見られる条項で、東京などでは見かけませんが、この判決の事例は、<保証金が100万円 敷引金が60万円>とかなり高額です。また、先に紹介した更新料の判決の事例も、東京では更新料は2年ごとに賃料1ヶ月分というケースが多いと思いますが、それに比べれば高額となっています。

このような事例についても、最高裁が「高額に過ぎるとまでは言えない」と判断したことは、今後、更新料や敷引金の高額化を招く可能性があると言えます。

もっとも賃貸借契約の成約内容は、近隣の相場との兼ね合いで決まることですので、あまり高額にすると、そもそも借り手がつかない事態となりかねません。募集条件については不動産業者とよく相談をされた方がよいでしょう。

この機会に賃貸借契約書を確認しましょう

なお、更新料支払い条項が賃貸借契約書におかれていない場合には、そもそも更新料を支払う義務はないとするのが最高裁の従来からの判決です。

この機会に、契約書の更新料支払い条項の有無を確認しておくべきでしょう。併せて、合意更新の場合だけでなく、法定更新(自動更新)の場合にも、更新料を支払わなければならない条項となっているかどうかも、チェックしておかれることをおすすめします。

登録の要件 支援措置
住宅
  • 原則25u以上 (共同利用の居間・食堂・台所等が十分な面積を有する場合は18u以上)
  • 原則、台所・水洗便所・収納設備・浴室の設置
  • 原則3点以上のバリアフリー化  (手すりの設置、段差の解消、廊下幅の確保)
補助
  • 高齢者住宅:新築補助率10%(1戸あたり最大100万円)
  • 高齢者生活支援施設:新築補助率10%(1施設あたり最大1,000万円)
サービス
  • 次のいずれかの者が常駐することにより、緊急通報及び安否確認サービスの体制があること(社会福祉法人、医療法人、居宅介護サービス事業者の職員等)
税制
  • 所得税・法人税に係る割増償却
  • 固定資産税の減額
  • 不動産取得税の軽減措置
その他
  • 賃貸借方式、またはこれに準じた契約とすること
  • 前払家賃等を受領する場合の返還ルール及び保全措置の実施
融資
  • 住宅金融支援機構の融資要件を緩和
  • 家賃の前払金への民間金融機関の死亡時一括償却型融資(リバースモーゲージ)に対し、住宅金融支援機構の融資保険対象とする


プロフィール

桝井 眞二氏 近影

桝井 眞二(ますい しんじ)

大学4年在学中に司法試験合格。1982年(昭和57年)、東京弁護士会に弁護士登録。現在、新麹町法律事務所(弁護士26名)所長(共同経営者)。不動産関係、相続、一般民事、大型刑事事件などを手掛ける。著書に「やさしい法律相談」共著(鳳書院)、「失敗しないアパート経営と管理」共著(NE賃貸住宅研究所)などがある。

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