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ペット共生社会の歴史と未来

市場動向

JAHA 会長 / 細井戸 大成

このコラムの内容は、2009年(平成21年)11月のものに、2011年(平成23年)11月に加筆修正したものです。

JAHA(公益社団法人 日本動物病院協会)は、人と家庭動物の健やかな住環境づくりを目的に、2001年(平成13年)からパナホームのペット共生賃貸住宅の開発をサポートしてきました。開発を始めてから現在まで、ペット(家庭動物)を取り巻く社会環境は大きく変化しています。その経緯を踏まえ、今後のペット共生社会について考えてみたいと思います。

JAHAの歩み、そしてペットに対する意識の変化


JAHAの年次総会で家庭動物とのふれあい活動を紹介しました。

JAHAは1978年(昭和53年)に、動物福祉と動物医療の先進国であるアメリカの動物病院の活動をモデルに「日本動物病院協会」として設立されました。1986年(昭和61年)には、アニマルセラピーを実践する“人と動物のふれあい活動”をスタート。これは、会員獣医師とボランティアがふだん動物とふれあう機会がない高齢者施設などの方を訪問し、動物の持つ温もりや優しさにふれていただくことを通して、心身の癒しや生きる喜びを感じていただくものです。

その活動が厚生省(現・厚生労働省)から社会福祉に役立つと認められ、1987年(昭和62年)に「社団法人 日本動物病院福祉協会」に改組。そして、2009年(平成21年)、JAHAのさまざまな活動の公益性が内閣府により認定され、「公益社団法人」として新たなスタートを切りました。現在は、動物医療に携わる獣医師や動物看護士はもとより、JAHAが養成している家庭犬のしつけインストラクター、獣医学を学ぶ学生、それに動物を愛する多くのボランティアなどが参加する組織へと発展しています。

JAHAをはじめ、人と動物のよりよい共生を求めるさまざまな活動が行われた結果、この10年ほどの間に動物に関する法整備が急速に進みました。

1999年(平成11年)に旧来の法律が改正され、動物の虐待や遺棄に対する罰則を盛り込んだ「動物愛護管理法」が施行。2006年(平成18年)には動物愛護管理法を中長期的に推進するための基本指針が環境省から告示されました。そして、2009年(平成21年)は家庭で飼育される犬・猫の食の安全を目的とした「ペットフード安全法」が施行されています。この法律策定にあたって実施されたアンケートでは、ペットの飼育者・非飼育者を含めた全体の8割がペットフードの安全性に配慮すべきと回答しました。

※2014年6月、団体名称を「公益社団法人日本動物病院協会」へ変更。


時代を先取りしたペット共生賃貸住宅の開発

このような社会の変化をいち早く察知したパナホームと、JAHAの社会貢献の取り組みが結び付いて、私やJAHA認定の家庭犬しつけインストラクターがペット共生賃貸住宅の開発をお手伝いすることになったのです。

それまでの賃貸住宅は「ペット飼育不可」が常識で、たまに飼育可能な物件があっても、古くなって入居者が入らなくなったから「ペット可」にするというものでした。私達の目から見ると、これは飼い主側の意識と大きくズレています。動物病院に来られる飼い主さんは、犬や猫を家族の一員と感じている人がほとんどです。そういう人は、多少家賃が高くても、多少不便でも、清潔で健康的で快適な住環境でペットと暮らしたいのです。

もともとパナホームの建物は、業界トップレベルのVOC(揮発性有機化合物)対策や24時間換気システムなど、人間以上に敏感な動物にとっても健康な環境が整っています。それに加え、ペットの足に負担を掛けにくい床材、室内飼育のしつけに欠かせないトイレスペース、共用部分や室内を清潔に保つためのペットの足洗い場など、人とペットの健康や安全に配慮した提案をさせていただきました。

また、賃貸集合住宅で人と動物が楽しく生活していくには、一定のルールづくりが重要です。ペット飼育の申請方法や飼育規約の作成についてもあわせてアドバイスさせていただきました。

振り返ってみると、商品開発に向けた協議をスタートしたのは2001年(平成13年)です。まさに時代を先取りした取り組みでした。最近は、賃貸住宅でも犬や猫と暮らせる物件が徐々に増えていますが、大手住宅メーカーであるパナホームの地道な取り組みが、賃貸市場に与えた影響は大きいと思います。


少子高齢社会に貢献する家庭動物の役割と街づくり


ペットのしつけや健康管理への意識が高まっています。

獣医師仲間に聞くと、最近は若いひとり暮らしの女性がペットを飼育するケースが増えているようです。これからはファミリー世帯だけでなく、ペットと一緒に暮らす単身世帯も増えていくのではないでしょうか。

また、動物愛護社会化推進協会主催の「犬の飼主検定」が数年前にスタートしましたが、愛犬家からペット関連の業界人まで多くの人が受験しています。これからはますます家庭動物に対するしつけや健康管理の知識が広く普及し、それにともない社会の一員としてのペットの地位が高まっていくでしょう。ドイツ、フィンランド、オーストリア、オランダなどの欧州諸国やニュージーランドでは、「犬税」という人間の住民税のような制度があり、その財源で街を清掃したり、ドッグランと呼ばれる犬専用の公園を作ったりしています。個人的には、そんな風に社会全体で人と家庭動物が快適に共生できる仕組みが日本でもできればいいと考えています。

家庭動物とのふれあいは、高齢者に生きがいを与え、子どもの情操教育にも効果的です。しかし、すべての人がペットを飼育できるわけではありません。これからの少子高齢社会に貢献する街づくりとして、独居の高齢者や核家族の子など、誰もが動物にふれあうことのできる優しいコミュニティを、ぜひパナホームに作ってほしいと期待しています。



プロフィール

細井戸 大成氏 近影

細井戸 大成(ほそいど たいせい)

1983年(昭和58年)、大阪市に細井戸動物病院を開設。その後、有志の開業獣医師仲間とともに、1990年(平成2年)には夜間救急動物病院を、2005年(平成17年)には高度動物医療を専門にするネオベッツVRセンターを創設するなど、関西における動物医療の充実と進歩に大きな役割を果たす。現在は、「株式会社 VR ENGINE」代表取締役の他、「JAHA(公益社団法人 日本動物病院協会)」会長、「社団法人 日本獣医師会」理事などの公職を兼務。

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