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円満な相続に備え、知っておきたい遺言の知識

法律

弁護士 / 桝井 眞二

このコラムの内容は、2015年(平成27年)10月現在のものです。

2015年(平成27年)から相続税が改正されたこともあり、ご自身の相続について真剣に考える方が増えています。
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産をご家族等に承継する制度です。
その相続にあたり、被相続人ご本人の意思を反映させるのが、遺言の最も重要な役割です。
世の中には、遺産分割をめぐって家“族”が骨肉の“争”いを起こす「争族」が少なくありません。
そんな悲劇を防止するためにも、遺言を通してご自身の意思を明確に表示しておくべきでしょう。
今回は、遺言に関する基礎知識を、5つのポイントに分けてご紹介します。

(1)遺言がないとどうなる?

民法が定める法定相続の規定

相続順位と法定相続人 相続分
第1順位 配偶者
1/2

1/2
第2順位 直系尊属 配偶者
2/3
直系尊属
1/3
第3順位 兄弟姉妹 配偶者
3/4
兄弟姉妹
1/4

※配偶者がいない場合は、他方の法定相続人が全財産を相続します。

一般的な法定相続人の範囲

配偶者は常に法定相続人であり、他、子(孫・ひ孫)が第一位、父母(祖父母)が第二位、兄弟姉妹(甥姪)が第三位の順で法定相続人と考えるのが一般的です。

民法は、法定相続人や法定相続分に関する規定を設けて、遺言がない場合の相続人の範囲・順序や、相続割合(相続分)を、右表のように定めています。これを法定相続といいます。

なお、非嫡出子(法律上の夫婦ではない男女間に生まれた子)の相続分を、嫡出子の2分の1としていた民法の規定が、最高裁判所により2013(平成25年)年9月4日に違憲であると判断されました。これを契機に法改正され、嫡出子・非嫡出子ともに相続分は同じとして扱われることになりました。

また遺言がない場合には、原則として、不動産や預貯金などの遺産を具体的にどう分割するかについて、相続人全員で話し合いをしなければなりません。これを遺産分割協議といいます。

誰か1人でも反対して遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判といった法的手続きをとらざるを得ない事態となります。(ただし、預金などの可分債権については、遺産分割協議が未成立でも、法定相続分の払い戻しを金融機関に命じた裁判例があります)


(2)遺言の必要性が高いケース

  1. 子がいない夫婦 (子がなく、直系尊属もいないと、夫婦で築いた財産の4分の1を兄弟姉妹に分け与えなければならなくなる)
  2. 先妻の子と、後妻や後妻との子がいる場合
  3. 親と同居したり介護をした子と、そうでない子がいる
  4. 親の事業を手伝って来た子と、そうでない子がいる
  5. 生前贈与を受けた子と、そうでない子がいる
  6. 自宅の土地・建物しか遺産がないような場合

法定相続人ではない人に遺産を残したい場合や、法定相続分とは違った割合で遺産を配分したい場合などには、遺言書を作成しておく必要があります。

また、次のようなケースは「争族」になりやすいので、遺言を遺しておくべきでしょう。


(3)遺言作成のメリット

「争族」になるのを避けられるということ以外にも、遺言を作成しておくことで、次のようなメリットがあります。

(4)遺言の手続きとは

遺言書には、大きく分けて、公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、自筆証書遺言には、要件に不備があって無効になってしまうケースや、遺言書原本を破棄されてしまう危険性、遺言書が偽造かどうかを巡って法廷闘争に発展するリスクなどが考えられます。ですので、多少費用がかかっても、ぜひ公正証書遺言を作成されることをお勧めします。

公正証書遺言の作成費用の目安は、遺産総額が5,000万円までで29,000円、1億円までで43,000円、3億円までで95,000円程度です。

公正証書遺言の作成には、証人が2名と、遺言者の実印・印鑑証明書の他、遺産を残したい相手や遺産の内容を特定できる資料などが必要となります。


(5)遺言はいつ作成すべきか

思い立ったが吉日と言いますが、いつ何があってもよいように、早めに作成して備えをしておくべきです。

なお、遺留分といって、兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺言によっても奪うことのできない権利が認められています。もっとも、遺留分を侵害する遺言も有効であり、遺留分を請求したい人は、相続が起こり遺言があることを知ってから1年以内に、遺留分減殺請求をしなければならないという制度になっています。

とはいえ、遺留分減殺請求をめぐって紛争になることも避けようと思えば、遺留分を侵害しないよう工夫して遺言を作成することを考えてもよいでしょう。



プロフィール

桝井 眞二氏 近影

桝井 眞二(ますい しんじ)

大学4年在学中に司法試験合格。1982年(昭和57年)、東京弁護士会に弁護士登録。現在、新麹町法律事務所(弁護士26名)所長(共同経営者)。不動産関係、相続、一般民事、大型刑事事件などを手掛ける。著書に「やさしい法律相談」共著(鳳書院)、「失敗しないアパート経営と管理」共著(NE賃貸住宅研究所)などがある。

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