贈与しようとする賃貸建物を借入金で建てていて、その借入金残高があるときは、贈与そのものが困難になります。借入金付きで贈与する負担付贈与という方法もあるのですが、その場合は建物を時価で評価しなければなりませんから、あまり有効ではありません。一方、贈与した側は、建物を借入金残高相当額で譲渡したことになり、譲渡所得税が課税される可能性がでてきます。
この他にも、預かり敷金や保証金の引き継ぎ、土地が貸家建付地として評価されるかなど、注意すべき点が多々ありますから、専門家と十分に相談してください。
もうひとつ、年末にかけてぜひ注目しておいていただきたいのは、来年度の税制改正の動向です。資産を豊富にお持ちの高齢者の方から、早く後継者に資産を移転していただいて、現役世代にその資産を使ってもらうことによって経済の活性化につなげたいというのが政府の方針です。それに従って、生前贈与に関しては大きな改正があると考えられます。
最近の新聞報道などでは、65歳以上の贈与者に限定した1回限りの贈与の特例として、1000万円を超える大型非課税枠の創設を財務省が検討しているようです。(表参照)最初の項で「現行の税制では、新築直後の賃貸建物を贈与するのは贈与税の負担が大きすぎる」と述べましたが、もしこの案が導入されれば、少ない贈与税あるいは無税で築年数の新しい賃貸建物を贈与することも可能になります。また、「贈与にかかる費用」が大幅に軽減されることから、より多くの方が賃貸物件の贈与によるメリットを享受することができるでしょう。
※平成14年8月現在の情報に基づいて書かれたものです。



■財務省が検討する相続税・贈与税の改正案(平成14年8月現在)


※このセミナーの内容は、2002年8月現在のものです。