賃貸物件の贈与を検討するにあたっては、表のように「収益の移転による相続税節税効果」と「贈与後の賃料収入に対する所得税・住民税の節税効果」の合計を、「贈与にかかる費用」と比較する必要があります。
建物を贈与するには、贈与税以外にも、登記の際の登録免許税と登録費用(司法書士費用)、その後に納税通知が来る不動産取得税などの費用がかかります。その額は少なくありませんから留意してください。
先ほどのAさんの相続財産が2億円で、相続人は子ども2人とします。仮に相続が発生するまでに10年あるとすると、賃貸物件の生前贈与によって、〈年間収益500万円×10年分〉の5000万円が相続財産から除かれることになり、1400万円の節税効果があります。前項で述べた〈所得税・住民税の節税効果170万円×10年分〉と合わせた3100万円が、Aさんの場合のひとつの目安と考えられます。これよりも贈与費用のほうが大きい、あるいは大差がないということであれば、実行する意味がありません。
しかし、相続はいつ発生するかわかりませんから、これはあくまでも検討するためのひとつの目安にすぎません。Aさんが長生きすればするほど節税効果は大きくなり、「あのときに贈与しておいてよかった」ということになるでしょう。


■賃貸物件の贈与の判断基準


※このセミナーの内容は、2002年8月現在のものです。