このセミナーの内容は、2006年1月1日現在のものです。

長いトンネルを抜けて、景気は静かに回復しつつあります。民間企業も家計部門も、痛みに耐えながら押し進めた構造改革の成果が出はじめたということでしょう。次は、官の側の構造改革を強力に進めることによって、21世紀の新しい日本の形を創っていくことが望まれます。

 日本のGDP(国内総生産)は、547兆円で、年率換算で1.7%の成長。これは、2005年11月発表の政府速報値です。GDPを構成している項目のうち、最大のウエイトを占める民間消費支出が、四期連続して伸びていることは、日本経済にとっては心強いことなのです。
 民間企業の設備投資の伸びと相まって、景気は引き続き堅調といえるでしょう。もちろん、アメリカや中国の景気次第では違ったシナリオも考えられます。
 最近、過去最高利益を計上する企業も目立ちます。過剰な人員、過去の成功体験から抜けられない経営者をリストラし、不要資産も損切り処分をし、選択と集中によって重点分野への投資を行い、低コスト体質と開発力の強化により、競争力を回復できたことが大きいと思います。まさに構造改革です。好調な企業部門は、新卒・中途採用増で雇用環境を明るくし、ボーナス等で賃金状況を好転させ、家計部門に余裕を与え、サイフのヒモをゆるめさせる好循環を生みつつあります。
 ただ、一部の小売業では売り上げ減に悩んでいるところもありますから、企業部門は引き続き“欲しいな”と思わせる商品やサービスの開発に努めなければなりません。
 思えば日本という国は、運の強い国です。第二次大戦後は朝鮮動乱の特需に助けられ、現在は中国の発展やアメリカの住宅バブルに助けられています。しかも、精彩を欠くヨーロッパ経済のせいもあって、行き場を失ったグローバルマネーは、日本の株や東京都心の「勝組」土地を高値で買ってくれています。
 かくしてデフレスパイラルは避けられ、四半期ぶりの株高で、個人の投資家マインドを明るくしてくれました。さらに、下げ続けた地価も、13年ぶりにようやく下げ止まりの気配を見せています。これで、含み損拡大恐怖症に陥ち入っていた大都市部の持ち家層にも、安堵感が出はじめています。デフレ脱却も遠くはないでしょう。
 なお、日本の強運を裏付ける最大の証しは、小泉純一郎という強いリーダーがこの困難な時期に現れたことです。不況風が荒れ狂った失われた10年、日本は行き先を見失い、その中で「構造改革」なくして回復なしと日本再生の進路を掲げ続ける総理大臣を持てたことは、誠に幸いなことであったと思っています。
 GDPは、新聞やニュースでも頻繁に出てきます。ですからその中身について、あらましを知っておくことは、経済問題等を理解する上でとても役に立ちます。
 少し乱暴ないい方ですが、GDPは、国民が“1年間に”日本国内で使ったお金の合計額のことです。
 下記の図表1を見てください。日本のGDP547兆円の内訳は、皆さんが商品やサービスあるいは住宅を買った家計支出の合計額と、企業が工場を増設したり設備を更新するために支払った合計額、そして政府(役所等)が物を買ったり、サービスを買うために支払った金額及び道路や空港を造るために支払った合計金額に、外国に輸出した代金を全部足し算をして、そこから外国で生産された輸入額を差し引きます。そして残った金額が国内総生産額=GDPなのです。その国の経済活動の規模を示します。
 図表1からGDPのうち、圧倒的に高い比率を占めているのが、皆さんの消費活動だということがわかります。消費支出が前の年より伸びれば、それだけ景気が良くなっていることを示しています。また、一般にGDPの額が大きいほど経済的に豊かな国であることを意味します。
 一方、GDPの成長率は経済の成熟した先進国では2〜4%程度が普通といわれており、反対に発展途上国ほど高い成長率を示します。中国の2004年のGDPは1兆7千億ドルといわれますから、日本円に換算すれば、約190兆円ほどです。
 なお、GDPの成長率は9%台と高く、中国は発展途上の国であることがわかります。しかし10年後にはGDPが2倍になるといわれます。日本もうかうかしておれません。高度先端的な技術面で数年のアドバンテージを保っていなければなりません。