このセミナーの内容は、2008年2月25日現在のものです。

今年の税制改正は、昨年末にまとめられた「平成20年度税制改正大綱」にしたがい、国会で可決されて施行となります。難しい国会運営を反映して、消費税の税率アップなどの重いテーマは先送りとなったため、全体としては小粒の改正との印象を受けます。ただし、事業承継税制では今後の制度拡充の方針が明らかになるなど、興味深い内容のものもあります。そこで、住宅に関連する部分や個人税制を中心に、税制改正のポイントをまとめてみました。

(1) 既存住宅の省エネ改修工事を行った場合の住宅ローン控除
住宅ローンにより省エネ改修工事を含む増改築を行った場合、その住宅ローン残高(1,000万円を限度)に一定の割合をかけた金額が、5年間にわたって所得税額から控除されます。ただし、現行の住宅ローン減税との選択制となります。
【控除率】 
特定の省エネ改修工事をした場合→200万円を限度に年末ローン残高の2%を控除。
それ以外の増改築工事をした場合→年末ローン残高の1%を控除。
【対象となる借入金】 
償還期間が5年以上の住宅ローンを対象とする。
【対象となる工事】
省エネ改修工事の費用が30万円超のものが対象。
■住宅ローン控除の比較表
 
現行の住宅ローン減税
省エネ改修促進税制
2.0%
特定の省エネ改修工事
以外の部分1.0%
5年間
5年以上が対象
200万円
特定の省エネ改修工事以外の
部分と合計で1,000万円
30万円超
 バリアフリー  ※2
改修促進税制
税額控除率 1.0%
7年目以降は0.5%
2.0%
バリアフリー改修工事
以外の部分1.0%
控除期間 10年間 ※1 5年間
ローンの
償還期間
10年以上が対象 5年以上が対象
ローンの
残高
2,000万円 200万円
バリアフリー改修工事以外の
部分と合計で1,000万円
工事費用 100万円超 30万円超
※1 特例として15年も選択できます。その場合の控除率は1〜10年目までは0.6%、11〜15年目までは0.4%です。
※2 参考として、昨年度に創設されたバリアフリー改修促進税制も付加。
(参考資料:自由民主党税制調査会資料)
(2) 省エネ改修工事を行った既存住宅にかかる固定資産税の軽減
一定の省エネ改修工事を行った住宅の固定資産税について、翌年度分の税額に限り3分の1が減額(120㎡を限度)されます。
(3) 「長期耐用住宅(仮称)」にかかる税額の軽減
一定の条件に適合する長期耐用住宅(仮称)について、平成22年3月31日までの間に、固定資産税・不動産取得税などが軽減されます。これらは現行の新築住宅特例に代えて適用されます。
 
※  長期耐用住宅(仮称)とは、通常よりも耐久性、耐震性が強化されたもので、間取り変更が容易なものとされています。追って具体的な認定の条件が策定される予定です。
 非上場株式の相続税の軽減措置が次の平成21年度の税制改正で創設されることになり、現行の評価額を10%減額する方法から、制度の対象となる株式にかかる相続税額の80%を納税猶予する方法に大幅に変更し拡充されます。平成20年10月に施行予定の「事業継続円滑化法(仮称)」をベースに、下記の(1)(2)などの要件に適合するケースに限り、新法の適用が受けられることになるようです。
(1) 適用対象会社であること(実質的な事業を営んでいない資産管理会社等は除かれる)。
(2) 対象となる相続であること(被相続人が代表者であり相続人も代表者になる、50%超の株式を保有すること等)。
 加えて、経済産業大臣の調査(相続直後とその後5年間にわたり代表者であるなど、一定の要件にあてはまるかが調査される)があります。現行法(小規模宅地の評価減等)においては、事業承継の対象とのことで減額を受けた店舗敷地などが、相続税の申告が済んでしまった後に比較的短期間に売却されるケースが散見されたために、新法では一定要件をクリアする事業承継に絞り込んで、その代わり今までよりも大きな税制上の優遇を与えようとする考え方のようです。さらに、相続税の課税方式を「遺産取得課税」方式に改めることの検討が始まります(とても大きな制度変更です)。
  また、将来的に上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間で損益通算ができるようになります。
(1) 上場株式の譲渡益に対する課税が10%から段階的に20%に引き上げられます。
(2) 上場株式の配当に対する課税が10%から段階的に20%に引き上げられます。
 また、総合課税(税率は15%〜50%で配当控除あり)と申告分離課税(税率は20%で配当控除なし)のどちらかを選択できるようになります。
(1) 個人住民税における寄付金控除の対象額が大幅に拡大されるとともに、生まれ故郷の自治体などへの寄付金が限度額まで全額控除される制度(ふるさと納税)が創設されます。
(2) 土地の売買による所有権移転登記にかかる登録免許税の税率が、1%から段階的に1.5%に引き上げられます。
(3) 住宅やその敷地の取得資金にかかる相続時精算課税制度の特例(上限で3,500万円の控除が受けられるもの)が2年間延長されます。したがって、平成21年12月31日までの特例となります。
(4) 中小事業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満のもので、年間300万円までは必要経費にできる)が2年間延長されます。