このセミナーの内容は、2007年9月25日現在のものです。

今年も早いものでもう10月です。そろそろ来年の確定申告に向けて、帳簿の作成や証憑類の整理などの準備をする時期になりました。その際、この領収書は経費にならないかな?と迷うこともあると思います。そこで今回は、必要経費の基本的な考え方と経費の按分(あんぶん)についてまとめてみました。

 「パソコンの購入代金は、必要経費にできますか?」「自動車のガソリン代は、必要経費になりますか?」というご質問を時々いただきます。このような時、「なる場合とならない場合があります」とお答えしています。パソコンの購入代金は、パソコンで帳簿を作成するなど、アパート経営に使用しているかの有無が、判断基準になります(10万円以上の場合は減価償却の検討も必要です)。またガソリン代は、どうでしょうか。例えば、ご自宅から離れた場所にアパートがあり、管理清掃などのために日頃から自動車を使用している場合などには、必要経費になると思います。この場合、自動車の減価償却費、損害保険料や自動車税なども、必要経費になります。
 一方で、自宅とアパートが隣接しているような場合に、ガソリン代を必要経費と説明するのは、結構難しいような気がします。経営の規模や形態などにより、必要経費の範囲は異なる場合もありますが、アパート経営に通常必要で、実際に使用して発生した費用が必要経費になるものと判断してください。
 ところでこのパソコン購入代金や、ガソリン代などの自動車の経費ですが、全額が必要経費でしょうか。1台のパソコンや自動車を、アパート経営と個人の趣味や生活用などにも共用している場合、確かに一部はアパート経営の必要経費ですが、残りは家事上の経費(生活費)だと考えられます。アパート併用住宅の経費はその代表例です。このようにオーナーのお財布からは、税務上2種類の性格を持つお金が混ざって支出されています。必要経費の計算上、この2種類の経費を按分する必要があります。
 では、どのように2種類の経費を按分するのでしょうか。税務上は合理的に按分することとされています。例えば、建物の床面積のうち70%をアパートに利用している賃貸併用住宅の場合、建物全体の減価償却費の70%を必要経費に算入します。この按分計算は青色申告決算書や白色申告の収支内訳書の減価償却費の計算欄にある、「貸付割合」という項目で行っています。賃貸併用住宅の場合には、床面積比で按分するのが、一般的に合理的だと考えられています。
 自動車の経費はどうでしょうか。実務上、いろいろな按分方法があるかもしれませんが、私は走行距離の比で按分するのが、合理的だろうと思います。例えば、年間10,000km走行する自動車で、そのうちアパート経営に関する走行が1,000kmなら、10分の1が事業に使用している割合(事業供用割合)になります。この割合で減価償却費等の経費を按分して必要経費に算入します。
 今回の必要経費の基本的な判断基準と経費の按分の考え方を参考にして、他に必要経費に算入できるものはないか、算入金額は適正かを検討してみてはいかがでしょうか。