このセミナーの内容は、2007年4月25日現在のものです。

相続税の軽減、あるいは固定資産税の軽減は、不動産対策の代名詞といえます。もちろんそれらの重要性に変わりはありませんが、近年では不動産の価値を測る尺度が収益力へと変質している点も、十分考慮する必要があります。不動産オーナーにとって、収益力の低い不動産から収益力のある不動産への転換を図ることが必要な時代となりつつあります。

 現在所有されている事業用不動産の中には、優良な業績を上げている物件もあれば、期待通りの収益を生まない物件もあると思われます。かつて土地は、所有し続けてさえいれば資産価値を高めていた時代がありました。しかし現在ではこのような土地神話は崩壊し、資産価値の尺度が「将来どれくらい値上がりするか」から「いくら稼いでくれるか」へ移りつつあります。
 不動産オーナーにとって「収益力をもっと高めたい」というのは共通のニーズですが、それは容易なことではありません。土地には立地などの特性や規制があり、決して自由な存在にはなりえません。そして何より収益力を上げるには、資金面での手当てが必要です。また、所有する他の不動産を処分して、その収入を新規事業に充てようとしても、「税金」という難問が立ちはだかります。含み益のある長期所有の不動産を売却すると、多くの場合、その含み益に所得税・住民税、合わせて20%もの税率で税金がかかります。
 売却する不動産が所有者の生計を支える事業用の不動産であれば、「特定の事業用資産の買換え特例」を適用できる場合があります。この特例は、個人が事業用として所有している一定の条件を満たす特定の資産を譲渡し(譲渡資産)、一方で一定条件を満たす特定の資産を一定期間内に取得して(買換資産)、その取得の日から1年以内に事業用として利用した時には、譲渡で得た収入のうち、譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額のうちいずれか低い方の金額の80%に相当する金額については、その段階では課税しないでおくという制度です。
 「特定の事業用資産の買換え特例」はいろいろなパターンが用意されています。中でも利用頻度が高いのが、所有期間10年超の事業用の土地などを譲渡して、新たにアパートなどを建築する「長期所有資産の減価償却資産などへの買換え」です。これの適用には、以下の基本要件を満たすことが必要です。
(1) ある特定の事業用資産の譲渡をすること
(2) 譲渡資産の所有期間は譲渡の年の1月1日において、10年を超えていること
(3) 一定の要件に該当する事業用資産(買換資産)を、原則としてその譲渡した年かその前年、または翌年に取得していること
(4) 買換資産は取得の日から1年以内に事業に供すること
上記の要件を満たした場合で、譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額が同額か、買換資産の取得価額の方が大きい時、譲渡所得は次のように計算されます。
 譲渡所得=譲渡資産の譲渡収入×20%−(譲渡資産の取得費及び譲渡費用)×20% 
※譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額より大きい場合の計算は、少々複雑なため、ここでは割愛。
 さらにこの特例を受けるためには、確定申告をすること、買換資産の税務上の取得価額を調整することが必要です。特に譲渡資産が「事業用」に該当するかどうかがポイント。詳しくは専門家にご相談ください。
 なお、長期所有資産の減価償却資産などへの買換えについてこの特例を適用する場合、その適用期限は平成20年12月31日までとなっていますので注意しましょう。