このセミナーの内容は、2007年2月25日現在のものです。

今年の税制改正は、昨年末にまとめられた「平成19年度税制改正大綱」にしたがい、国会で可決されて施行となります。持続的な経済活性化を実現するために、減価償却制度の抜本的見直しがあった他、中小企業の事業承継税制、土地・住宅税制や納税環境整備等についての改正もありました。その改正内容の主なポイントを確認していきましょう。

 持続的な経済の活性化を図り、日本の企業の国際競争力を高めるため、減価償却制度に関して抜本的な見直しが行われました。
(1) 平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産について、残存価額が廃止されます。これにより定率法の償却率は(1÷その資産の耐用年数)×2.5で計算され、例えば耐用年数が10年の資産であれば、(1÷10)×2.5=0.25となります。
(2) 償却可能限度額(取得価額の95%)が廃止され、法定耐用年数の経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることになります。平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した後、5年間で1円(備忘価額)まで、均等償却ができることになります。
欧米諸国などほとんどの国では、減価償却の残存価額はゼロ(100%償却できる)となっています。日本の企業が国際的な競争に耐えられるように税制が整備されたわけです。
 中小企業の事業承継税制では、役員給与の損金不算入制度の適用除外枠の引き上げと、相続時精算課税制度の適用枠が拡大されたところに注目です。
(1) 実質的な1人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部を損金不算入とする制度について、適用除外となる基準所得金額が1,600万円(現行800万円)に引き上げられます。
もともと、この制度は平成18年度の改正で創設されたものですが、起業をスムーズにした会社法の流れに逆行するだけでなく、税理論上も問題の多い制度として強い批判を浴びてきたものです。
(2) 推定相続人の一人(受贈者)が、平成19年から平成20年までの間に、取引相場のない株式等の贈与を受ける場合には、以下の2つの要件を満たす時に限り、60歳以上の親からの贈与についても、相続時精算課税制度を適用することができることとし、2,500万円の非課税枠が500万円上乗せした3,000万円に拡大されます。
その会社の発行済株式の総額(相続税評価額ベース)が20億円未満であること
特例選択の時から4年を経過する時に、その受贈者が、株数と議決権の両方とも50%超を有しており、その会社の代表者として経営に従事していること
この制度は中小企業の早期かつ計画的な事業承継の促進を図る見地から新設されたものです。しかし、受贈者(相続人)の要件として厳しい制限があるように思われます。
 国民生活への配慮として、新たな制度の創立や特例の延長などが定められています。
(1) 住宅ローン減税に関して、平成19年と平成20年の住宅購入について控除期間を15年とする特例が、既存の制度(控除期間10年)と選択できる形で創設されます。なお控除期間内で控除できる最大額は、既存制度も特例措置も同額とされています。
(2) 手すりの設置など、住宅のバリアフリー工事を行った場合の、バリアフリー改修促進税制(所得税と固定資産税)が創設されます。
(3) 居住用財産の譲渡にかかわる課税の特例(買換特例及び譲渡損失の繰越控除)の適用期限が3年間延長されます。
(4) 事業用資産の買換特例が2年間延長されます。
上記の(1)は税源移譲に伴い中低所得者層の所得税額が減少する中で、ローン控除が取りきれなくなる弊害をできるだけ排除する対応策です。(4)は当初廃止が濃厚でしたが、安倍新政権の経済活性化優先政策により継続となりました。他の適用期限切れの特例についても、そのほとんどが延長となりましたが、「相続等により取得した居住用財産の買換えの特例」については廃止となりましたので注意が必要です。
 スムーズに適正な納税ができるように、税金納付環境が整えられました。
(1) 電子証明書を取得した個人の電子申告にかかわる所得税の税額控除制度を創設するとともに、税務手続きの電子化促進措置(添付書類の省略)が講じられます。
(2) コンビニエンスストアで納税ができる制度を創設し、国税の納付手段が多様化されます。