このセミナーの内容は、2008年9月25日現在のものです。

国税当局は去る7月1日、平成20年分の「路線価」を公表しました。「路線価」とは、相続税や贈与税を計算する際の宅地等のよるべき価額のこと。全国約38万地点の平均額は、前の年を10%上回り、3年連続の上昇となっています。そのため土地所有者は今、真剣に相続税対策を考えることが必要になってきました。

 日本では一つの土地に異なる複数の価額が付けられています。その意味では珍しい国ですが、それぞれの価額にはそれなりの意味があります。国土交通省が管轄する「公示価額」は、国や市が道路や学校を造る際、買収する土地の価額の目安にします。この価額より少し低いのが「路線価」、さらに低いのが「固定資産税評価額」です。それぞれ上昇率や下落率がかなりの部分で連動していますが、実際はばらばらといっても差しつかえありません。国税庁が管轄する「路線価」は、相続税や贈与税を計算する際に土地等の評価額の基準となります。
 今年、平成20年に発表された「路線価」によれば、都道府県庁所在地の最高路線価は25都市で上昇し、特に仙台 ・横浜 ・静岡 ・神戸など16都市で前年より上昇率(変動率)が大幅に拡大しています。東京 ・大阪 ・名古屋など8都市の拡大幅はそれほどでもありませんが、原因としては下落から上昇に転じたのが他地域に比べ早かったからです。一方、下落したのはわずか11都市となりました。秋田 ・福島 ・盛岡 ・山形の東北地方と、鳥取・松江・徳島 ・高知の中四国、それに前橋 ・水戸 ・甲府です。しかし、これら都市でも下落幅が縮小傾向となっています。
 下記の図表1は、平成20年分と19年分の「路線価」を比較したものです。1m²あたりの全国平均は、平成19年分が13万円、平成20年分は14万3千円で、10%上昇したことになります。相続や贈与の際にはこの「路線価」を基に税額を計算しますが、相続税率は累進税率なので、「路線価」が10%上がれば20%〜30%の税負担増になるのが普通です。
■図表1:標準宅地における評価基準額の平均額とその変動率(圏域別)
区分 評価基準額の平均額 変動率
平成20年分 平成19年分 平成20年分 平成19年分
  千円 千円
全国平均 143 130 10.0 8.6
東京圏 351 306 14.7 13.1
東京都 672 572 17.5 17.0
都区部 888 750 18.4 18.7
神奈川県 182 169 7.7 3.7
埼玉県 127 119 6.7 1.7
千葉県 108 102 5.9 5.2
大阪圏 175 163 7.4 8.1
大阪府 201 185 8.6 9.6
兵庫県 164 154 6.5 4.7
京都府 171 163 4.9 8.0
奈良県 60 59 1.7 0.0
名古屋圏 122 110 10.9 9.1
愛知県 129 116 11.2 9.6
地方圏 52 52 0.0 0.0
※1m² あたりの数値を表示しています。
 また図表2では、東京 ・大阪 ・名古屋圏においては平成18年からすでに「路線価」が上昇に転じていることがわかります。例えば、東京圏では3年間に3.5%・13.1%・14.7%と上昇していますが、この上昇率は対前年比なので、平成17年時点と単純比較すれば35%上昇していることになります。地域によっては、もっと上昇しているところもあります。
■図表2:標準宅地における平均額の変動率の推移(圏域別)
区分 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年
東京圏 ▲4.0 ▲2.7 ▲0.8 3.5 13.1 14.7
大阪圏 ▲8.7 ▲7.7 ▲4.5 0.7 8.1 7.4
名古屋圏 ▲6.5 ▲6.0 ▲2.1 2.1 9.1 10.9
地方圏 ▲7.7 ▲8.2 ▲7.1 ▲5.7 0.0 0.0
全国 ▲6.2 ▲5.0 ▲3.4 0.9 8.6 10.0
(単位:%)
 平成19年に国税庁が公表した相続税申告実績では、1年間に相続税申告書を提出した件数は4.5万件、その相続財産の総額は11兆3,928億円。相続税額は1兆2,196億円で、なんと1件当たり2,70 1万円の相続税を納めています。そして、その相続財産の内訳は、図表3からわかる通り約半分は土地なのです。これに家屋と特定同族会社株式を加えれば約6割にもなります。法人所有の土地の「路線価」が上昇すれば、特定同族会社株式の評価も上昇します。これに加えて、固定資産税負担も重くなってきます。
■図表3:相続税申告実績における相続財産の内訳
土地 47.8% 5兆4,474億円
現預金 20.6% 2兆3,475億円
有価証券
(特定同族会社株式)
15.8%
(4.2%)
1兆7,962億円
(4,817億円)
家屋 5.0% 5,749億円
生保 その他 10.8% 1兆2,196億円
 「路線価」が上昇に転じた昨今では、相続税対策として土地対策が急務といえるでしょう。皆さんが所有する土地の「路線価」は、国税庁ホームページの【財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」】コーナーから閲覧できますので、計算してみてください。いよいよ自己責任で真剣に、税対策と土地の有効活用を考える時がきたようです。