このセミナーの内容は、2008年8月25日現在のものです。

入退去時のクロス張り替え工事から、大規模な外壁などの塗り替え工事まで。賃貸住宅のオーナーさんは、長く経営をしていく中でさまざまなリフォーム工事を行います。それらの工事にかかった費用は税務申告において、どのように処理すればよいのでしょうか。リフォーム工事の支出についての考え方を解説します。

 賃貸住宅のリフォーム(修繕)の工事支出は、確定申告において、「修繕費」として一度に経費処理できるのか。あるいは「資本的支出」として、数年間にわたって少しずつ「減価償却費」で処理していくべきなのか。オーナーさんは判断に迷うことがあります。その判定を、税法の規定に従ってわかりやすく示したのが、下の『「資本的支出」と「修繕費」の区分判定フローチャート』です。工事支出の金額や周期、目的などに沿って<YES・NO>で「資本的支出=減価償却費」か「修繕費」かの判定ができるようになっています。
※注1: 「基通」とは法人税法基本通達、「所基通」とは所得税法基本通達のこと。内容はどちらも同じです。
※注2: 「20万円未満」の判定は、1つの計画に基づき同一の固定資産への支出額の合計で行います。
※注3: 「前期末取得価額(所得税では、前年の12月31日の取得価額)」とは、「原始取得価額+これまでの資本的支出−除去した部分」に対応する取得価額で求めた数値です。
 フローチャートのうち、3番目のチェックポイントに「明らかに価値を高めるもの又は耐久性を増すもの」とありますが、通達ではこれに該当するものとして、下記の項目が例示されています。
(1) 建物の避難階段の取り付け等、物理的に付加した部分に係る金額
(2) 用途変更のための模様替え等、改造又は改装に直接要した金額
 また、4番目に「通常の維持管理のためのもの」がありますが、これに該当するものとしては、下記の(1)が例示されています。(2)〜(4)は現在の通達にはのっていませんが、旧通達に例示されており、「修繕費」になります。
(1) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した金額及び、砂利道や砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した金額
(2) 家屋又は壁の塗り替え
(3) 床や瓦の毀損(きそん)部分の取り替え
(4) 畳の表替え、障子・襖(クロス)の張り替え
 税法の規定は、必ずしも具体的ではありませんので、現実のリフォーム支出をどちらで処理するのか、不明瞭な点があることは否めません。納税者はできるだけ「修繕費」を選びたいのですが、税務調査で否認されることもあります。金額が大きくなると、悩ましい問題になりかねません。
 ここで、いくつか具体例をQ&A形式でご紹介しましょう。
Q1 入居者の退去時に25万円のリフォーム費用が発生し、うち13万円がオーナー負担となった。
A1 負担分は「修繕費」になります。
Q2 外壁や階段の手すりの塗装工事を行い、工事費に200万円かかった。
A2 通常の維持管理のための支出として、「修繕費」で大丈夫です。
Q3 台風で屋根の一部が壊れたので、その箇所を直してもらい80万円かかった。
A3 「修繕費」になります。
Q4 1階の貸店舗を賃貸住宅3戸へ用途変更し、そのためのリフォーム代が300万円かかった。
A4 支払いの中身を分析し、建物や建物付属設備、器具備品など各減価償却資産として処理し、減価償却をしていくものと思われます。