このセミナーの内容は、2008年4月25日現在のものです。

宅地は所有しているだけで、固定資産税や都市計画税が毎年かかってきます。応益負担の原則からいえば、地価が上がれば税負担が増え、地価が下がれば税負担が減少するはずですが、実際はそうなっていません。今こそ、土地の持ち方について考えてみましょう。

 私は20年ほど前に『土地有効活用と相続税対策』(ダイヤモンド社)という本を執筆しました。それ以降、土地有効活用という言葉が世間で認知されることになったのですが、その後も土地活用についての執筆と講演を全国で数え切れないくらい行いました。そこで感じたことは、自分が所有している土地を財産だと思っている人が多い。特に日本人は土地こそ資産価値の一番高いものだと信じている人が90%を超えるのではないかと思います。そもそも財産は所有しているだけで価値のあるものですから、財産から何かしらの収益なり、メリットとなるものを所有者にもたらさないと意味がありません。しかし最近の土地所有者はどうでしょうか。
 土地を所有、維持することに大変なエネルギーを費やしている地主が多いことに驚かされます。山林や田畑は組合などを通じて負担金が発生しますが、現在か将来にそれなりに恩恵をもたらします。問題は宅地です。所有しているだけで固定資産税や都市計画税が毎年かかってきます。固定資産税は宅地の課税標準額に1.4%、都市計画税は0.3%をかけるのを原則としていますが、そうしますと、地価の高い土地を所有していると固定資産税の負担が大きくなるのは当然で、地価の安いところを所有している人の何倍もの税負担に耐えなければなりません。固定資産税は応益負担の税で、つまり地価の高いところは、それなりに市などから高いサービスを提供されるので、それなりの負担があってしかるべきだという考え方によるのだそうです。
 これには議論の余地はありそうですが、問題なのは、地価が上がれば固定資産税の負担が増え、地価が下がれば税負担が減少するはずなのに、そうなっていないことです。地価が最も高かったのは1990年で、現在は全国平均でその4分の1といわれています。東京都心などごく一部では地価の回復基調にありますが、まだまだバブル期には遠く及びません。理論からすると、平均的な地主は現在、バブル期に納めていた固定資産の4分の1になっているはずですが、総務省の調べでは、逆にバブル期より5割近くも固定資産税の負担が多くなっています。それは一体なぜでしょうか。
 全国の市町村は、実は税収の6割ほどを固定資産税収入でまかなっているのです。地価が半分になったから固定資産税収入が半分では、市は成り立ちません。これでおわかりのように、景気に左右される法人住民税や個人住民税とは異なり、地主の納める固定資産税は、市の財源の超安定収入源なのです。ですから土地を持ち続ける限り、税負担が増え続けるのを覚悟しなければなりません。そうなるとコストがかかるものを維持するには、それなりの収入が約束されるものでなければ長期間所有するには難しいものです。つまり土地の有効活用をしなければなりません。収入が上がる見込みのない、役に立たない土地は売りなさいと地主によくいっているのですが、「先祖から持っている土地なので自分の代では…」、「売れないのです…」が最も多い答えです。
 考えてみれば土地が私有制になったのは明治からで、先祖代々といってもほとんどが昭和の時代からのもの。ヨーロッパのように1,000年以上も先祖からの土地というのは日本には存在しません。世の中が激変した今、その土地を守るのに毎年の税負担に加え相続税まで払い続ける子孫を見て、先祖は喜ぶでしょうか。またその土地は売れないといいますが、日本に売れない土地などありません。それは値段をいうからです。
 私は有効活用できない土地は売りなさいといいたいのです。有効活用できない土地は誰も欲しがらず、現に相続人も嫌がります。早く処分して、有効活用できる土地だけを残し、例えば賃貸経営をするにしても、借入金で賃貸住宅を建てるより、他の土地を処分した代金で建てるように工夫すべきです。そうして建設した賃貸住宅は、借入金が少ない分、家賃設定を低めにできます。固定資産税の税負担にしても、遊休地に比べ、6分の1まで負担を軽減できるというメリットもあるのです。