このセミナーの内容は、2006年3月1日現在のものです。

今年の税制改正法案は、昨年の12月に連立与党でまとめられた「平成18年度税制改正大綱」にしたがい、国会で可決されて施行となります。所得税と個人住民税の定率減税は平成18年から半減し、景気が悪くなった場合には見直すとしながらも、平成19年に全廃と明記されました。
今回は平成18年度に施行の税制改正のポイントをまとめてみました。

 「定率減税」は、景気浮揚対策として平成11年に導入された制度ですが、ここ数年の景気の改善状況を踏まえて、その役割を終えたとして、昨年の大綱で平成18年から半減することが決まっていました。そして、今回の大綱で平成19年から全廃となることが明記されました。
 地方分権を推進し、地方自治の確立を図るための改革の一環として、所得税から個人住民税への3兆円規模の税源が移譲されることになります。これにより所得税の税率は4段階から6段階へと細かくなり、逆に個人住民税は3段階から一律10%に単純化されます。
大綱には「すべての納税者の負担が増えないように配慮する」とあり、税負担は変わらないとされています。なお、住宅ローン控除は所得税で控除されますが、個人住民税からは控除されません。そこで税源移譲による税率変更で所得税が減るために、住宅ローン控除の枠を使い切れなくなってしまう人を救済するために、個人住民税で所定の減額措置が設けられることになっています。
 災害に強い国づくり推進の主旨で、新耐震設計基準を満たさない住宅の自発的な耐震改修を促進するために、(1)所得税における「耐震改修税額控除制度」、(2)固定資産税における「減額制度」が創設されます。具体的に(1)は、平成18年4月1日から平成20年12月31日までの間に実施する住宅耐震改修費の10%(最高20万円)を所得税額から控除するもの。(2)は、昭和57年1月1日以前から存する住宅に、耐震改修工事(1戸あたり30万円以上のもの)を実施した場合には、家屋に係る固定資産税が半減する(1戸あたり120m2分まで)制度です。なお、半減の期間は工事実施の年により1〜3年と異なります。
 相続税の物納制度について、手続きの明確化・迅速化等の観点から、いくつかの見直しが行われましたが、私が強く興味を持ったのは(1)「物納不適格財産」と「物納劣後財産」の明確化 (2)延納から物納への変更ができる、の2点です。まず(1)についてですが、かつて市街化調整区域を物納申請した際に、私は課税庁より「不適格財産」ではないが「劣後財産」であるとして、厳しい取扱いをされた経験があります。現行では条文にも通達にも「劣後財産」とは書かれていないため、対応に苦慮しました(無事に収納されましたが…)。(2)については、今までは延納から物納への切り替えが不可能であったため、リスクを避けるために、できるだけ物納・売却により納税が完了するように工夫していましたが、改正後は、土地等を残したい方は、ある程度の賃料収入等が見込まれれば、物納しないで延納で頑張ってみるという選択も、よいのではないかと思います。
 今回の大綱のなかで、「同族会社の役員報酬について、給与所得控除額に相当する金額は損金の額に算入しない」という規定が創設されました(適用要件の詳細は省略します)。今までは、アパート経営などで規模が大きくなると、個人事業から会社組織に切り替えるということがよく行われてきたわけですが、その動機のひとつとして「給与所得控除額」の分だけ税金が軽減される仕組みがあったわけです。本年5月には新会社法が施行され、「起業」が促進されると思っていた矢先の税制改正であり、すでに会社組織で経営されている方や、これから会社組織にしようと検討されている方には注意が必要です。