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 平成4年にスタートした定期借地権は、リスクなしに長期安定収入を実現する土地活用法として定着した感があります。それに加え、最近は土地を手放さずに相続を乗りきるための手段としても、注目を集めるようになりました。とはいえ、具体的にどのように相続対策に利用できるかとなると、まだまだよく理解されていないのが実状です。そこで、これまで多くの土地オーナーの相続対策を手がけてこられた公認会計士・税理士に、定期借地権の有効性についてパナタウン武蔵の事例をもとに解説していただきました。



 入間市は、埼玉県の特産品のひとつ狭山茶の主産地。市内のあちらこちらに広大な茶畑が広がるお茶どころです。この地でお茶の製造販売を営まれているIさまが平成8年に定期借地権事業をスタートされた約880坪の土地も、もとは茶畑でした。
 名門ゴルフコースの雑木林に隣接する緑豊かな環境で、小中学校やスーパーは徒歩圏内という立地。しかし、最寄りの駅からはバスで約15分かかることから、通勤などの利便性を考慮すると、賃貸住宅経営の安定性には疑問が残ります。そのような場合には、宅地並みの課税がかかる広い農地を所有されている方ほど、定期借地権にすることによって相続対策の効果が大きいといえます。仮に生産緑地にしていない農地の状態のまま相続が発生したとすると、面している道路の路線価で評価額が計算され、通常の宅地とほとんど同じ税金がかかることになります。しかし、その農地が宅地と同じ価格で売却できるかというと、そうではありません。建物は一定条件の道路に面していなければ建てられませんから、Iさまのケースのように住宅地にある900坪近い農地の場合は、造成して道路を入れなければ、宅地として使いようがないからです。つまり、相続税の評価は宅地並みですが、原状のままでは土地としての資産価値ははるかに低いということになります。
 そこで、定期借地権事業によって広い農地を造成し、道路を入れて区画整理します。道路維持の点からその道路を市に寄付すれば、相続財産からその面積分がはずれます。土地が減って損ではないかと思われるかもしれませんが、その代わり宅地としてきれいに整備された土地が残り、土地の価値は高まります。
 相続税を節税するには、「相続財産の評価を下げる」「相続財産を減らす」という2つの方法があります。広い土地を活用した定期借地権事業は、この2つの方法を使って節税しながら、さらに資産価値が高く分割が容易な土地と、長期にわたる安定した収益を次代に継承するという、壮大な相続対策といえるでしょう。

Iさまが経営する「パナタウン武蔵」。約880坪の茶畑を造成した14区画に定期借地権住宅が建築されています。



パナタウン武蔵のランドプラン
開発総面積:2,913m2(約880坪)
第2種住居地域
建ぺい率:60% 容積率:200%
約50〜54坪/区画 14区画




 定期借地権の相続対策では、50年間無利息で預かれる多額の保証金を、どのように運用するかが重要なポイントになります。 保証金を定期預金にしておくと、相続時には財産とみなされます。一方で、預かっているお金なわけですから、預かり保証金という債務が発生します。それならプラス・マイナスはゼロになるから何の影響もないと考えがちですが、そうはいきません。 無利息でお金を預ければ、通常の利息との差額分の利益を得ることができます。したがって、その利益の割合を差し引いて計算しなければいけないというのが税法の規定です。つまり、保証金全額を債務控除することはできないのです。
 そこで、預かった保証金を定期預金にせずに、それを資金にして賃貸住宅を建てるとします。 例えば1千万円の保証金を利用して1千万円の賃貸住宅を建てて賃貸すれば、建物は貸家評価になり、増える財産は半分以下に圧縮されます。加えて、賃貸住宅を建てた土地の評価額も下がります。
 このように定期借地権の保証金を効果的に運用することにより、借入れをしなくてもさらに大規模な相続対策が可能になります。 保証金の返済分は50年かけて積み立てればよく、借入れをしないで賃貸住宅を建てれば、収益性は非常によくなりますから、その賃料と定期借地権の地代を合わせれば相当な収入になるはずです。放っておくと財産が増えますから、次の段階としては所得の分散や生前贈与を考えることが必要でしょう。


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